ロードテスト ポルシェ718スパイダー ★★★★★★★★★☆

公開 : 2020.04.11 11:50

718ボクスターの新たなトップモデルは、フラット6が復活し、GT3由来のシャシー技術を導入。否が応でも期待は高まり、それは随所で叶えられたのですが、ボクスター流用のトランスミッションはいただけないものでした。

はじめに

ほぼ際限なしのアピールを生み出すレシピがある。シートはふたつのみで、車両重量は控えめに。エンジンは自然吸気で、後輪駆動。そうそう、もちろんトランスミッションは手動変速でなくては。

これら5つのどれも、ドライバーズカーの世界ではおおいに歓迎される要素だ。ところが現状、そのうち3つでも兼ね備えるクルマを探すのさえ難しいのが実際だ。4つとなれば、絶望的なほど少ない。

今回のテスト物件は5つをすべて持ち合わせている。それを造り出したのがポルシェだと聞けば納得するかもしれない。しかし彼らは、この手のクルマを過去のものにするだろうと、少し前まで思われていた。

エミッション規制は強化されつづけている。しかも、市場リサーチでは、ほとんどのユーザーがデュアルクラッチ式自動変速機の便利さや素早いギアチェンジを求めているという結果が出ている。となれば、機を見るに敏なポルシェが、少なくとも自然吸気+MTをラインナップから外しても不思議ではないからだ。

状況の変化は突然だった。車名にGTの文字を戴くモデルのなかでも抜きん出た人気を誇る存在、911GT3からクラッチペダルを排除しただけでなく、718を名乗ることとなったボクスターとケイマンからは6気筒を取り上げ、それより味気ないフラット4ターボに差し替えたのだ。

ドライビングプレジャーを追求する歴史を紡いできたブランドとしては理解に苦しむ動きだけに、それはユーザーを困惑させた。それを受けてか、911GT3にはMT仕様が追加されることとなる。それに続いたのが、718系に搭載する自然吸気フラット6の新開発だ。

この新型ユニットを得て昨年夏に登場した718系の新顔が、スパイダー(ボクスターとは名乗らない)とケイマンGT4だ。いずれも、先に述べた5大元素が揃ったクルマだ。

世間の声に押し切られてか、この4.0Lノンターボの新型6気筒はもっと手頃なGTSグレードにも導入された。だが今回、その実力を確かめる連れ出したのはボクスターがベースの3代目スパイダーである。

コンセプトモデルのようなスタイリングとミドシップレイアウト、そして911GT3からの転用も多いシャシー。これは、現行ポルシェの中でも最高のロードカーとなりそうな予感を禁じえない。

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