【値頃感のある最終型をオススメ】ローバー・ミニ(Mk7) 英国版中古車ガイド

公開 : 2020.04.20 10:20  更新 : 2020.12.08 11:05

1996年から2000年にかけてローバーが製造した、オリジナルミニの最終モデル、Mk7。それ以前のクラシック・ミニほど高値でなくても、同じ楽しさを備えています。お膝元となる英国の中古車事情を見てみましょう。

地獄の入口には立たないように

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
当たりのクルマを手に入れれば楽しい半面、ハズレのクルマだった時は・・と警告するのは、英国で長年ミニの専門店を営む、リチャード・ウィリアムズ。

どんな中古車でも当てはまるが、優れた状態ならミニを謳歌できるものの、悪いクルマを手に入れてしまったのなら、地獄の入口になるかもしれない。最も厳しいオーナーへの仕打ちとなるのが、サビ。

ローバー・ミニ(Mk7・英国仕様)
ローバー・ミニ(Mk7・英国仕様)

ボディパネルはもちろん、バルクヘッドやサイドシルの交換は費用のかかる作業。ボディを治そうと剥がしたら内側のシェルもサビていて、さらにその下側も、と芋づる的に問題を引き出すことにもつながる。

英国の中古車オークションに、こんなクルマが出品されていた。1985年式のミニ1000で、14万3000kmの走行距離のクルマが、2530ポンド(34万円)だった。

若い頃の思い出を味わい直したい、という気持ちで手に入れた前オーナー。オリジナルコンディションだったものの、ボディの状態は酷かったという。

サイドシルの修理に800ポンド(10万円)、ボディパネルに1629ポンド(22万円)、メカニズムや電装系の修理で1500ポンド(20万円)を投じたという。「ミニのファンではなく、メカニックの見習いになったようでした」 落札時にオーナーが漏らしていた。

ちょっと尻込みしてしまう内容だが、選ぶなら将来も安心な車両を選ぶべきということ。「屋根付きのガレージに停められていたミニをオススメします。クルマを理解し、整備も惜しまないオーナーであることが多いですから」 リチャードが話す。

ミニの起源は1959年にまでさかのぼるが、今回は1996年から2000年に製造された、最終モデルのローバー・ミニ(Mk7)に焦点を当ててみたい。

Mk7なら価格も手頃で安全性も高い

1990年までの間に、ミニとして由緒正しい1000ccエンジンはラインナップから落ち、1275ccユニットに置き換わっていた。1992年にはフュエル・インジェクションを獲得している。

1996年には、ディストリビュータ不要の点火システムとして、電子制御のコイルがプラグ毎に採用された。それがMk7だ。

ローバー・ミニ(Mk7・英国仕様)
ローバー・ミニ(Mk7・英国仕様)

ボディサイドに付けられていたラジエターは、通常のクルマのように前方へ移動。オルタネーターは強化品となり、トランスミッションのファイナルレシオが高められている。

見た目でも、ホイールアーチの膨らみが大きくなり、ヘッドライトはレベリング機能を搭載。サイド・インパクトビームもドア内側に導入された。

シートや内張り、ダッシュボードも新しくなり、フロアカーペットは厚くなっている。リモートコントロールの集中ロックも採用。シートベルト・プリテンショナーに運転席エアバックも得ている。

ラインナップとしては、標準の1.3iと、クーパー1.3iが存在する。他にもスポーティな限定仕様車としてポール・スミスやクラシック・セブン、ナイツブリッジなどがリリースされた。

これらのモデル展開は、ファッションに意識が高い単身社会人へ人気だという、ミニの市場調査を受けて投入されたもの。その後のBMWも、ミニのリニューアルに同様の調査を行っている。

2020年の今では、ガレージ保管されたMk7のローバー・ミニは、一層素敵に見える。古典的なクラシック・クーパーとしてスライド・ウインドウやケーブル式のドアオープナーは備えていなくても、価格はお手頃だし、乗り心地は若干だが良い。

走行距離わずか800kmという2001年式のクーパー・スポーツ500ですら、英国では2万8000ポンド(378万円)で見つかっている。良いクルマを選びたい。状態と価格は比例する。

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