【陶酔させ満たしてくれる】ケーターハム・スーパーセブン1600へ試乗

公開 : 2020.04.28 10:20

1970年代譲りのクラシックなルックスに、現代的なメカニズムを搭載したケーターハム・スーパーセブン。英国編集部は、快適装備がなくても、素晴らしく面白い仕上がりだと評価します。英国の一般道で試乗しました。

英国ならキットカーとして購入も可能

text: Alan Taylor-Jones(アラン・テイラー−ジョーンズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
家の中から出られず、青い空と太陽を眺めている読者も多いはず。ひと目を気にせず思い切り運転したいと、ウズウズしているクルマ好きも少なくないだろう。

ネットショップで、プラモデルやレゴ・ブロックに手を出すのも悪くない。でも空いたガレージを持っていれば、英国ならキットカーを手に入れるという方法もある。ケーターハム・スーパーセブン1600だ。

ケーターハム・スーパーセブン1600SV(英国仕様)
ケーターハム・スーパーセブン1600SV(英国仕様)

英国ではケーターハムから、クルマのコンポーネント丸ごとを自宅へ送ってもらえる。375ポンド(5万円)を追加で払えば、必要なツールも送ってくれる。組み立てに要する時間は、通常80時間から100時間ほど。

自ら組み立てる自信がないのなら、2395ポンド(32万円)でケーターハムが組み立ててもくれる。クルマは登録済みとなり、すぐに乗れるカタチで最寄りのディーラーへ届けられる。

今回試乗するスーパーセブンをご紹介しよう。スズキ製3気筒を載せたスプリントとスーパースプリントに続いて登場した、レトロをテーマにしたケーターハム・セブンだ。

ベースとするのは、4気筒の270と呼ばれるモデル。フロントタイヤを隠すのはサイクルフェンダーではなく、トラディショナルなフレアタイプ。レトロ感を強めるため、スペアタイヤをリアに背負っている。価格は通常の270より、わずかに上乗せとなる。

ツイン・スロットルボディには、K&N社製のエアフィルターを装備。元気な吸気ノイズが耳に届く。

レトロ感を漂わせるレザーシートは黒が標準。他の色はオプションで選べる。ウッドリムのモトリタ製ステアリングホイールも、オプションではある。

これほど情報量の多いスポーツカーはない

シャシーのサイズは2種類。標準のものと、SVバージョンと呼ばれる、ひと回り長く広いタイプ。背の高いドライバーへ、若干の余裕を与えてくれる。

自然吸気1.6Lのフォード・シグマ・エンジンはわずかにチューニングが入り、136psを6800rpmで発生。0-96km/h加速は5.0秒と素早い。スーパースプリントに積まれた抑揚の少ないスズキ製の3気筒ターボより、操る楽しさでははるかに上だ。

ケーターハム・スーパーセブン1600SV(英国仕様)
ケーターハム・スーパーセブン1600SV(英国仕様)

ボンネットの中に収まるツイン・スロットルボディのエンジンは、低回転域でのアクセルレスポンスの柔らかい感触が、レトロな体験にぴったり。5速MTはストロークが短く、機械的な質感が味わえる。

アクセル操作でエンジンの回転数は鮮明に高まり、リミッターまで一気に吹け上がる。吸気ノイズを徐々に大きく響かせながら。

ステアリングやブレーキにはパワーアシストがつかない。満足感のある走りを楽しむには、ドライバーにも準備と心づもりが求められるタイプだ。

かなりクイックなステアリングは、手のひらへ路面の細かな状況を刻々と伝えてくれる。コーナリング時はフロントタイヤのグリップ状況も、すべてが掴める。どのクラスの、どの価格帯のクルマでも、これほどの情報量を持つスポーツカーはない。

もちろん、スーパーセブンはアルピーヌA110ほど安楽ではない。高速域で耐えるための筋力は不要でも、低速域での操舵には筋力が必要。

ブレーキは普通の減速時なら、強い力を必要としない。しかし本域で攻め込んでいる時は、強く蹴飛ばさなければならない。現代のクルマのように、ABSやトラクション・コントロールはない。

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