【ニュルFF最速の系譜】比較試乗動画 ルノー・メガーヌ R26RからトロフィーRまで
公開 : 2020.05.08 17:55 更新 : 2021.03.05 21:34
ルノーが送り出す究極のホットハッチ、メガーヌ・トロフィーRを先代の275トロフィーRや先々代R26Rと比較しました。むやみなパワーアップはせず、余計なものを排除した大幅な軽量化による純粋さが魅力です。
徹底的な軽量化により123kgを削減
今回のAUTOCAR HEROESでは、ルノー・スポールの新型メガーヌ・トロフィーRを先代にあたるメガーヌ275トロフィーRや先々代メガーヌR26Rと比較する。
まず最初に試乗するのはR26Rだ。このクルマを象徴するのは、当時ニュルブルクリンクでFF市販車として最速であった8分17秒という記録だ。もちろんニュルのタイムはそれほど重要ではなく、それに関係なく素晴らしいドライバーズカーはたくさんあるが、パフォーマンスの指標としては大きな意味を持つ数字だ。
R26Rはレース用バケットシートや6点式ハーネスなどの装備を追加しながら、2シーター化やリアウインドウをアクリル製とすることなどにより、123kgの軽量化に成功している。227psの2Lターボに6速MTが組み合わされ、余分なものを徹底的に排除した純粋さが魅力だ。
ステアリングは現代の基準ではやや軽めだが、非常に正確かつスムーズで、素晴らしい仕上がりだ。さらにエグゾーストも自然で、夢中になれるクルマになっている。発売当初の価格は2万7000ポンド(360万円)であり、当時としてはやや高価だと考えられていたが、その良さが認知されると急激に人気が高まり、現代へと続く系譜の最初の一台となった。
先代のタイムを20秒更新した275トロフィーR
次はメガーヌ275トロフィーRに試乗しよう。2014年に発売されたこのクルマは、基本的なテーマをR26Rと同じくし、パワーアップよりも軽量化を優先して仕上げられている。ニュルでは7分54秒という記録を打ち立て、R26Rのタイムを20秒ほど更新した。
ステアリングはR26Rよりもクイックかつレスポンシブになり、足まわりもさらに引き締められて路面に吸い付くようになった。ただしより軽くスプリングのやわらかいR26Rの方が快適性は高い。コーナリングスピードを重視したセッティングが施されており、四輪すべてを使って旋回している感覚が得られる。これによりコーナー中盤での速度維持がしやすく、グリップを使いきることができるのだ。
この2台に共通する点を挙げるとしたら、余計なものを廃し、サーキットでも通用するクルマに仕上がっているということだ。これはフォーカスRSなどのライバルというよりも、ポルシェ911GT3のホットハッチ版とも言える。
このクルマの発売時の価格は3万5000ポンド(465万円)程度であり、ハッチバックとしてはやや高価な部類であった。しかし今の中古市場ではR26Rと大差ない価格であり、どちらかを選ぶとすれば公道がメインであればR26Rを、サーキットが中心ならこの275トロフィーRを選ぶことになるだろう。