【世界有数の走破性を普段遣い】ランドローバー・ディフェンダー110 D240へ試乗
公開 : 2020.05.19 10:20
トルクフルで柔軟な240psのディーゼルエンジンが、洗練された新しいディフェンダーのスイートスポットだとする英国編集部。初めに導入となるロングホイールベース版の110を、英国の一般道で評価しました。
英国で最も一緒に暮らしやすいのはD240
新しいランドローバー・ディフェンダーには、ボディ長やエンジンなど複数の選択肢が用意されている。その中でディーゼル・ターボエンジンのD240は、英国で最も一緒に暮らしやすいモデルといえそうだ。
最高出力は240ps、最大トルクは43.7kg-m。馬力は控えめだからといって、燃費が特に良いわけではないけれど、素のディフェンダーD240 Sの価格は妥当なものだと思う。
しかも、世界でも有数の高い走破性能を備えている。恐らく世界トップかもしれない。心強い相棒になる。
最新のディフェンダーは、当初5ドアの110が導入される。ホイールベースの短い90が、少し遅れて続く。ベースとするのは、ランドローバー社製のロンジチューディナル(縦置き)・エンジン・アーキテクチャー。主要素材はアルミニウムで、同社の中で最も強固な土台だ。
エンジンはD240にも搭載される2.0Lのディーゼル・ターボエンジンと、3.0Lのガソリン・ターボエンジンを用意。最大牽引重量は、3500kgとなる。
当初はエアサスペンションが標準で、最大900mmの渡河深度に対応。注目に値するほどの、オフロード性能の一端を示している。スチール製コイル・サスペンションも、追って選べるようになる。
前回はアフリカの広大な砂漠での試乗となったが、今回は英国の舗装路が舞台。やっと、初めて走れる。
ナミビアで試乗した際、一番気になったところが1996mmという全幅。舗装区間が少ないとはいえ、広々としたアフリカとは違い、狭い英国の一般道での印象はどうだろうか。
上質なインジニウム・ディーゼル
実際に運転してみると、心配不要だった。ディフェンダーは初代譲りの高いドライビングポジションに大きなステアリングホイール、低いウエストラインが与えられている。
ボディの四隅の位置も掴みやすく、狭い地方都市の道に沿って運転することも、難しい作業ではない。しかも、乗り心地が非常に良い。
ランドローバーは、ディフェンダーへ比較的ゆったりとした足回りを与えた。コーナーでは速度を高めるほど明確にボディは傾くが、その度合は制御されており、効果的な姿勢制御だと感じる。
昨今のSUVは、スポーティな走りの実現に注力されることが多いが、ディフェンダーは違う。ランドローバーは、あえてSUVではなく4×4だと主張し、落ち着きのある乗り心地を実現している。
並外れた、といえるほどに、身のこなしはジェントル。動的性能も、シャープになりすぎることなく、好印象にまとめている。
2.0Lのインジニウム・ディーゼルエンジンは静か。エンジンのラインナップが発表された時、ディーゼルには疑問を抱いたが、実際に確かめてみると洗練性は一級品だった。
これまで筆者が試乗した、ベストに並ぶ上質さを備えている。トヨタ・ランドクルーザーや、フォード・レンジャー・ラプターと比べても、静寂性に優れている。タイヤのロードノイズも同様に大人しい。
トランスミッションは8速ATのみで、ローレンジ・レシオを備える。電子ロック機能の付いたセンター・デファレンシャルは標準装備。リアにも1000ポンド(13万円)の追加費用でeデフを搭載できる。