【運転の楽しさはそのまま】スズキ・スイフト・スポーツ・ハイブリッドへ英国試乗
公開 : 2020.07.08 10:20
マイルド・ハイブリッドを獲得した、スズキ製ホットハッチ、スイフト・スポーツ。経済性を向上させつつ、運転の楽しさはそのまま。しかし価格は上昇し、多くのライバルと比較される立場へ変わったと、英国編集部は指摘します。
マイルドHV化で140psから130psへ
スズキは既存モデルをハイブリッド化することで、電動化技術の導入を進めている。その中に加わったのが、最新のスイフト・スポーツ。
スイフト・スポーツといえば、自然吸気エンジンを搭載した最後のホットハッチの1台だった。しかし今ではターボ化され、新たにマイルド・ハイブリッドも獲得。このクラスでは先進的な内容になった。
スズキ製モデルに積まれるマイルド・ハイブリッドは電圧12Vのものが多いが、スイフト・スポーツへ採用したシステムは48V。スターター・ジェネレーターとバッテリーを搭載し、燃費の向上を狙う。
スターター・ジェネレーターは1.4Lの4気筒ガソリンターボ・エンジンをアシスト。2000rpm以下の回転域で、トルクを上乗せしてくれる。
マイルド・ハイブリッド化に伴って、最高出力は若干落ちている。従来140psあったパワーは、130psになった。最高速度は変わらないものの、0-100km/h加速の時間は1秒ほど遅くなっている。
車重の軽さが自慢だったスイフト・スポーツ。電動化技術の採用により、ついに1tを超えてしまった。
さらに価格も上昇。英国では2万1570ポンド(284万円)の値札がついている。英国では、フォルクスワーゲンUp! GTIの方が、6000ポンド(79万円)も安い。
以前は最も手頃なコンパクト・ホットハッチだったが、エントリーグレードのフォード・フィエスタSTの価格へ接近。残価設定の月払い金額で見れば、ほとんど差はないと感じるほどだ。
リニアな加速と素早いコーナリング
マイルド・ハイブリッドだから、電気モーターが直接タイヤを動かすことはない。それでも低回転域でトルクが加算され、スタートダッシュの加速感は従来よりリニアなものになっている。
確かに、従来のスイフト・スポーツほどの鋭さは感じられない。しかし、中間加速はかなり好印象だ。
一方で小さなホットハッチの雰囲気に合わないのが、エネルギー回生のさせ方。アクセルペダルから力を抜く度に、積極的に速度を落とし、運動エネルギーを電気エネルギーに変換しようとする。
勢いを保って滑らかにスイフト・スポーツを走らせたいと感じる筆者には、少し煩わしい。設定を変えて、エネルギー回生の強さを調整することもできない。
6速MTのギア比は適度にショート。50km/h程度の速度でも、6速でクルージングが可能だ。トランスミッションの変速感は、良いとはいえない。ペダル配置は望ましく、シフトダウン時のヒール&トウがしやすい。
引き締められたサスペンションとシャシーは、従来どおり。素早いコーナリングを可能としている。運転は楽しい。
ただし、人工的に重み付けされた感じのあるステアリングホイールへは、充分なフィーリングが伝わってこない。サスペンションは、滑らかな道でも落ち着きに欠ける。長距離移動は、少し疲れてしまいそうだ。
バッテリーはフロントシートの下にレイアウトされ、荷室空間などへの影響はない。そのかわりシート位置は高く、運転姿勢はアップライト気味。リアシートの広さは、子供なら長距離移動でも不満は出ないだろう。