ワークス・ジャガーD-タイプ 落札ならず なぜ?

公開 : 2018.01.25 21:40  更新 : 2020.12.08 18:17

RMサザビーズ・アリゾナ・オークションの主役は、ワークスチームからル・マン24時間に参戦した「ジャガーD-タイプ」。しかしヒストリー的に “弱い” ため、最低落札額に届かず流れてしまいました。

text:Kazuhide Ueno(上野和秀) photo:RM Sotheby’s Auctions/Patrick Ernzen

1954年のジャガー・ワークスカー

1950年代のジャガーを代表するレーシング・マシンはD-タイプであることに異論を唱えるものは無いだろう。ル・マン24時間レースで1955年から1957年まで3連覇を遂げ、1920年代のベントレー以来となる、英国へ栄光を持ち帰った立役者である。

ジャガーD-タイプ(シャシーナンバーXKD403)

今回出品されたジャガーD-タイプ(シャシーナンバーXKD403)は、1954年に5台製作された初期型の1台。同年のル・マンにジャガー・ワークスチームから参戦し、スターリング・モスとピーター・ウォーカーにステアリングが託され素晴らしい速さを見せたが、ブレーキトラブルでリタイアに終わる。その後1955年モデルのテストベッドとして使用されたのち、プライベート・チームに払い下げられ、ツーリスト・トロフィーを始めとするイギリスのレースで記録を残している。

このジャガーD-タイプはRMサザビーズ・アリゾナ・オークションの主役として出品されたもので、予想落札額は13億3200~16億6500万円と発表されていた。しかし入札が始まると、レーシング・ヒストリーの弱さと、フェラーリほどのブランド力が無いことから最低落札額に届かず流れてしまった。翌日開かれたグッディング・スコッツデイル・オークションに1956年モデルのD-タイプが並んだが、こちらもプライベーターのマシンだったためか流れてしまった。

ジャガーD-タイプ(シャシーナンバーXKD403)

最近のジャガーD-タイプの動きは?

近年のジャガーD-タイプの落札額を見ると、2016年夏のRMサザビーズ・モントレー・オークションで1956年のル・マンを制したDタイプ(XKD501)が21億7800万円で落札されたのが最高値となる。しかしその後にオークション・バブルが弾けたことから、投機筋も姿を消し、エンスーはシビアに入札しているため低調になってきているようだ。

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