英・洗車ビジネスにも「ブラック企業」 見分けかたは? 立ち向かうNPO

公開 : 2018.04.01 11:40

洗車場にも「ブラック」なところがあるのです。現状を探るとともに、立ち向かうNPOグループをインタビューしました。奴隷制さながらの環境をどのように整備し、整備後の環境はどうなっているのでしょうか?

text: John Evans(ジョン・エヴァンス)

もくじ

奴隷制さながらの洗車場も
立ち向かうNPOグループ
「正しい」労働環境とは?
ラブ・ユア・カーの仕事ぶり
番外編 搾取の兆候 5つの特徴

奴隷制さながらの洗車場も

現在英国には非公認の洗車場が1万9000カ所ほど存在する。その中には不法移民が12時間働いてたった25ポンド(3700円)というような現代の奴隷制さながらのところもある。

この問題に対処するため、政府機関、洗車企業、労働者、慈善団体、一般人を巻き込んで「フェアで安全な洗車産業を育成する」ことを目的とした独立NPO法人が立ち上がった。

立ち向かうNPOグループ

サンジュ財団と呼ばれるこのNPOは、2015年に東ロンドンのベスナル・グリーンの自室でシャワーを浴びている時に感電死したルーマニア人の洗車作業員サンジュ・ローレンティウ・サバを追悼して設立された。洗車場のわきに設けられた彼の粗末な下宿の電源は電力メーターをバイパスして結線されていたのだ。その宿はサンジュのボス、シャイプ・ニマニが用意したものだった。2017年1月、英国中央刑事裁判所においてニマニは重大な過失による致死罪を認め、4年の禁固刑を言い渡された。

サンジュを追悼して設立された財団は、カー・ウォッシュ・アドバイザリー・サービス(CWAS)の発案だった。この財団の目的は最善の作業環境、特に従業員が正当な報酬を得て適切に税金を払い、商売が合法的かつ正当に運営されることの実現である。この条件を満足する洗車場には「適正洗車場」のシールが貼られる。

「事態は悪化こそしていないものの、まだまだです」とCWASの専務であるドーン・フレーザーは言う。

「多くの手洗い洗車場で働く労働者は本当に苦しんでいます。われわれは彼らが正当な扱いを受けられるよう努力しています。『ブラック企業』ではないかと思ったら警察に届けてください」

わたしの家の近くにも、従業員の権利を無視しているんじゃないかと思うような洗車場が確かにある。悪質な清掃業者に無視されたり、出て行けと言われたこともある。善良な労働者が望むようなきちんとした洗車場があればいいのにと常々思っていたところ、偶然ネットでラブ・ユア・カーという洗車場を見つけた。キャンベイ島にある会社だ。

余談だが、キャンベイ島はカタルーニャの独立運動に刺激を受けた市民運動家がエセックス本土のキャッスル・ポイント・バロー議会からの自治を求めている場所である。キャンベイ島の連中は独立心が旺盛だ。スチーム洗車場ラブ・ユア・カーを立ち上げたボス、リック・プローマンもそのひとりである。

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