インタビュー 若きコーチビルダーの未来は デビュー作、テスラ・モデルSをめぐって
公開 : 2018.06.24 08:10
若干33歳にしてデザインスタジオを構えるニールス・ファン・ロイですが、クルマ好きが高じてロイヤルカレッジ・オブ・アートへ進んだ彼が創り出したのは、テスラ・モデルSをベースとしたシューティングブレークモデルです。若きコーチビルダーの現在と未来に迫ります。
もくじ
ー 温故知新 顧客は様々
ー コーチビルド 進め方は顧客次第
ー 主張が魅力 次回作はロールス
ー 番外編:英国のライバル
温故知新 顧客は様々
コーチビルディングはクルマそのものと同じくらいの歴史をもつが、クルマ作りが新たな時代を迎える中、この芸術の新たな才能の持ち主が、テスラ・モデルSをシューティングブレークへと変貌させた33歳だというのも当然かも知れない。
コーチビルディングの基本ともいうべきものは、ロールス・ロイス、デューゼンバーグやブガッティといった過去の名車たちのなかに見出すことができるが、自動車黎明期に登場した少なくない数のモデルが、電気を動力源にしていたという事実も見逃すわけにはいかないだろう。
もし、そのデザインに開拓精神や冒険心とともに、ある種の調和を見出すことができれば、ニールス・ファン・ロイ率いるチームの作品を気に入るに違いない。このオランダ人は、クルマを愛する自らの情熱に従い、ロンドンのロイヤルカレッジ・オブ・アートへと進み、コンサルタントとして成功を収めた後、グリーンウィッチに自身のスタジオをオープンした。
自分のスタジオを持っているとは信じられないほど若いファン・ロイだが、何とかその責任を果たしているようだ。そして、大企業で働くかわりに自身でスタジオを立ち上げたのは、支払いをするためだったという。
「2014年に新型ロンドンタクシーのプロジェクトに参加したのが、飛躍のきっかけとなりました」と彼は話す。「市長室に対して、実動可能なプロトタイプのプレゼンを行ったのですが、お褒めの言葉をたくさん頂きました。もちろん十分検討した案でしたが、その反響が多くの仕事につながったのです」
当然ながら、ファン・ロイが手掛ける案件は厳重に情報管理されており、彼がその詳細を明かすことはないが、それでも、彼はボルボ、フォード向けに進行中のリサーチがあることを認めている。ファン・ロイはヒントすら与えてくれないので、推察するしかないが、驚いたことに携帯大手のファーウェイも、自動車業界への進出を狙って彼に仕事を依頼しているようだ。
「顧客ニーズをつかむための初期デザイン調査のような、裏方の仕事にも興味はあります」と彼は笑う。「しかし、わたし達のことを皆さんに知って頂きたかったので、名前を表に出して、コーチビルドという仕事を始めることにしたのです」