現代車は個性に欠ける? 英AUTOCARが選ぶ、愛すべき個性的なクルマ9選 後編
公開 : 2018.08.19 06:10 更新 : 2021.03.05 21:43
信頼性も高く、エネルギー効率も優れている現代のクルマ。しかし、一昔前のクルマと違って、何か気持ちが通うような、個性を感じられるような存在ではないと感じているひともいるのではないでしょうか。英国編集部が個性をテーマに選ぶクルマとは?後編です。
もくじ
ー サーブ900ターボ・コンバーチブル
ー ケーターハム620S
ー マツダRX-7(FD)
ー アルファ・ロメオGTV V6
ー モーガン3ホイラー
サーブ900ターボ・コンバーチブル
サイモン・デイビス
数年前に、友人とアムステルダムへ旅行した時のこと。4日間、地元の文化に触れたこと、つまり、酒場から酒場へ、はしごしたのだが、素晴らしい日々だった。
そして、英国に戻ったあとも、その街のことが忘れられなかった。酒場が恋しかったわけではなく、オランダの首都の、細い石畳の道に秋の日がさす中で、一目惚れしたクルマに出くわしたためだ。
なぜこのモデルに強く惹かれたのか、うまく説明ができない。まるで絵に描いたように素敵に見えたのだけれど、もしかすると酒に酔っていただけなのかもしれない。その街に戻ってでも手に入れたいと思ったクルマが、サーブ900ターボ・コンバーチブル。1993年か1994年の、四角いヘッドライトが付いたクルマ。
今となっては、サーブ900ターボ・コンバーチブルを運転する機会どころか、サーブ製のクルマ自体、運転することが難しい。だから、本当に運転して楽しいのかどうかは、わからない。でも実際は、クーペのような鉄製の屋根ではないことを考えると、ソフトトップはボロボロで、遅く、古臭いのだろう。
この時の物欲は、経験に基づくものではなく、単に見た目で惹かれただけだから、恐らくリスキーな欲求だ。もし、憧れの女性とディナーに出かけて、テーブルマナーが最低だったら、かなりショックを受けるのと同じ。
一方で、クルマのアピアランスだけで想像を膨らませさせて、夢中にさせる力というのは、クルマに個性を生み出すためには必要な、本質的なものだと思う。
もちろん、お金に際限がないのなら、ジャガーXJ220やマクラーレンF1が欲しいけれど、現実に戻って考えると、サーブはかなり魅力的に映るクルマなのだ。