なぜ日産はルノーに提携見直しを強く迫れる? ゴーン会長逮捕
公開 : 2018.11.26 19:15 更新 : 2021.10.09 23:32
カルロス・ゴーンが電撃逮捕されて1週間。容疑の矛先はどこに? フランス側の思惑とは? 「敵対的買収」を両陣営が避けたい理由についても、AUTOCAR JAPANは迫りました。執筆はフランスで長く生活していた、南陽一浩です。
もくじ
ー 容疑の矛先はどこに向いているか?
ー 政府間と民間、両レベル発のメッセージ
ー 敵対的買収を両陣営が避けたい理由
容疑の矛先はどこに向いているか?
元日産会長にして、ルノーの会長兼代表取締役であり続けているカルロス・ゴーンが電撃逮捕されて1週間。
ゴーン容疑者は小菅の東京拘置所で容疑を否認していることが先週末から伝えられているが、ひとまず容疑の事由が、報酬の過少申告と虚為記載に関するものである以上、それについての否認と考えられる。
この状況が漏れ伝えられる以前から、フランスのメディアで日本の司法制度における拘置中の条件の苛烈さを伝える報道が多かったため、ようやく日本のメディアにも推定無罪の原則を意識したような論調の変化が多少なりと、看てとれるようになった。
ただし、これらに先立つ11月22日(木)に行われた日産の取締役会では4時間強もの説明の後に、テレビ会議で出席したルノー出身の2名のボードメンバーも含め満場一致で、ゴーンを会長職から解く決定が為された。
この時、いわばフランスのルノー側に通じるルートへ、初めて具体的な資料と容疑の根拠が伝えられたと考えられるが、ベルナール・レイとジャン・バティスト・ドゥザンのいずれかは不明ながら、「これはひどい」と口にしたという。
ゴーン容疑者とグレッグ・ケリー容疑者が問われている過少申告や虚為報告については、もしかすると「退職金積み立て」の可能性も捨てきれない。
よって容疑の本丸は今後、投資資金で世界各地の不動産を購入したとか、実姉に実体のないコンサルティング顧問料を支払っていた等、経費の私費流出や横領などに切り替わる可能性が高いといえる。