アストン マーティン・ヴァルキリー 開発シミュレーター体験 ゲームとは違う

公開 : 2019.04.14 07:50

発売が間近に迫るアストン マーティン・ヴァルキリーですが、その開発はシミュレーターを使って進められていることをご存知だったでしょうか? 今回特別にシミュレーターの実体験を許された英国版AUTOCARですが、その結果は思わぬものだったようです。

もくじ

ありふれた場所 仕事は最先端
期待通りとは言えず
ヴァルキリーのコックピット

ありふれた場所 仕事は最先端

かつてクリス・グッドウィンは、開発中のプロトタイプスーパーカーのキャビンが自分のオフィスだと冗談を言っていたが、マクラーレンからアストン マーティンへと移り、ハイパフォーマンス・テストドライバーとして3台のミドエンジンモデルのダイナミクス性能開発を主導する立場にもあるいま、ミルトン・キーンズにある工場の、ありふれた1室が彼の居場所となっている。

ここはレッドブル・レーシング(RBR)の本拠地でもあるが、以前のグッドウィンを思えば、まったくつまらない場所であり、いまでは彼が各地を飛び回るようなこともない。

「英国で冬を過ごすのは数年ぶりです」と彼は話している。「ナルドにあるリバ・デル・ソーレホテルには何カ月も顔を見せていないので、ジャンフランコはわたしが死んだと思っているかも知れません」

それでも、グッドウィンはここで、最先端のバーチャル技術を使って、登場を間近に控えたヴァルキリーの開発を進めているのであり、この最新技術によって、アストンとレッドブルはプロトタイプを製作するはるか以前から、このエイドリアン・ニューウェイの夢とも言える「メガカー」の開発に着手することができたのだ。

今回、この開発シミュレーターの取材とともに、初めてバーチャルのヴァルキリーのコックピットに座ることを許された。

グッドウィンは、テスト計画に基づき、すでに31回のセッションで8400kmもの走行距離を重ねている。バーチャルのヴァルキリーは細部にこだわって再現されており、シミュレーションから有効なデータを抽出できるよう、そのプラットフォームには十分なデータ容量を確保している。すでに750GBにも及ぶデータが採取され、主要サプライヤーと共有されていると言う。

つまり、グッドウィンがこのバーチャル環境で記録したシルバーストーンの走行データが、コスワースがプロトタイプのV12をシャシダイ上でテストする際のベースになっているのだ。

RBRでビークルサイエンスのトップを務めるジェームス・ナップトンによれば、もうすぐヴァルキリーが積むボッシュ製スタビリティコントロールシステムの実走テストが行われ、実車から得られたセンサーへの入力データと、センサーからの出力データは、そのままシミュレーションプログラムへと反映されることになると言う。

現在どんなスタビリティコントロールがシミュレーションで使われているのかを質問してみた。ニヤリとしながらグッドウィンは「そんなものはありません」と言う。「ABSも付いていないのです」

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