過去と未来を繋ぐ場所 ビスター・モーション 自動車世界の未来を体現?

公開 : 2019.05.19 16:50  更新 : 2020.09.21 21:34

当初ヴィンテージカーやクラシックモデルの楽園になるかと思われたビスター・ヘリテージですが、そのトップが抱くのはさらに壮大な計画であり、ヘリテージは単なるその一部にしか過ぎませんでした。英国自動車産業の新たな拠点をご紹介します。

もくじ

過去だけでなく 新たなR&D拠点
出会いは偶然 敷地内をご紹介
建設はこれから ルーツへの帰還
番外編:ビスターをご案内

過去だけでなく 新たなR&D拠点

4~5年前、オックスフォードシャーにあるビスター・ヘリテージが、英国のクルマ好きにとって、もっとも訪れてみたい場所に突如としてランクインしたとき、この場所が目指しているのは、ヴィンテージカーやクラシックカーと、そうしたクルマを愛し、実際に所有していたり、修理や売買に関わるひとびとにとっての、新たな楽園になることだと思われていた。

1926年に英国空軍基地として建てられたレンガ造りの建物は、驚くほど素晴らしい状態を保っており、チャーチルの伝記映画、Darkest Hour(邦題:ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)のロケ地にも選ばれている。

オールドスタイルの黒と白に塗り分けられた昇降式ゲートをくぐり、昔気質のゲートキーパー、ニールとのちょっとした会話を楽しめば、まさにここが建てられた当時にタイムスリップしたかのような気分を味わうことができる。

だが、ビスター・ヘリテージは単に過去を振り返るだけの場所ではない。それは、ビスター・モーションと呼ばれる、壮大な計画の一部に過ぎず、1.8平方キロメートルの広さを持つかつての空軍基地は、英国初となる自動車をテーマにしたリゾートとテクノロジーセンターへと、その役割を変えようとしているのだ。

つまり、ヘリテージがこの計画全体に占める割合はほんの一部に過ぎず、責任者のダン・ゲーガンによれば、ビスター・モーションが計画どおりに進めば、まったく新しい方法で、毎年100万人ものひとびとを、新たに自動車世界と結びつけることができるようになるという。

ゲーガンの壮大な計画のなかでも特に重要となるのが、周囲に点在するレースエンジニアリングやテクノロジーの専門企業と協力して、あらゆる自動車関連の革新的技術開発を行うひとびとをサポートすべく、2万平方メートルの新たなエリアと、自動運転とコネクテッドカー向け専用テストコースを備えた、FAST(Future Automotive Speed and Technology:フューチャー・オートモーティブ・スピード・アンド・テクノロジー)という名の、新たなR&D拠点を創り出すというものだ。

この地で父親がガレージを運営していたエンスージァストでもある不動産開発業者のゲーガンは、ウェールズと深い繋がりを持つとともに、英国が世界で主導権を握ろうとしている革新的技術の発展を手助けしたいという強い思いを抱いている。

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