メルセデス・ベンツXクラス オーストラリア試乗 積荷はビール 豪アウトバックめざす 後編

公開 : 2019.09.01 18:50

日産ナバラ譲りのメカニカルコンポーネントに、メルセデス流の快適さを加えたXクラスですが、動力性能では物足りないものの、その快適さとオフロード性能は十分満足できるものであり、無事に目的地へとビール樽を運んで祝杯を挙げることに成功したようです。

快適なロングツアラー

スリーポインテッドスターが輝くボンネットの下に収まるエンジンは日産製であり、姉妹モデルであるナバラとは、少なくともこのルノー由来のパワープラントを含め、数多くのパーツをXクラスは共有している。

エンジンカバーはXクラス専用のものだ。少なくともエンジンルームにもメルセデスの手が及んでいるという印象を与えることには成功しており、作業車両としての出自を隠すには賢明な方法と言えるだろう。

メルセデス・ベンツXクラス その7
メルセデス・ベンツXクラス その7

だが、実際の走りではそうはいかない。日産ナバラの加速はリニアだが緩慢としたものであり、その最大の魅力は燃費性能にある一方で、Xクラスでは、66mm延びたボディと数々の装備、さらには徹底した遮音によって増えた180kgの車重によって、パフォーマンスはさらに鋭さを失っている。

それでも、その結果ロードノイズは遮断されており、豪華なシートと相まって、このクルマに快適なロングツーリング性能を与えることに成功している。

2.3Lエンジンは低回転からそれなりの力強さを発揮するものの、追い越しには慎重さが求められる。このエンジンが真価を発揮するのは、ターボチャージャーが回り始め、それなりの回転域に達してからとなるが、それでも速度計が3桁の表示に達するにはしばらく時間を要する。

オフロード性能も十分

人間よりも飛び回る虫の数がはるかに多くなるとそれはアウトバックの奥深くにまで到達したということだ。丘の上から広大な景色を眺めていると、大量に小さな虫たちが集まってきて、牛やカンガルーに乗るよりもXクラスでのヒッチハイクをしようと空いたドアへと殺到してくる。

最短ルートの替わりに、フリンダーズへは思い切ってタイヤを痛めつけるような鋭い岩とオフロードが待ち構えるルートを辿ることにしていたが、われわれのXクラスが履いていたのは、交換が必要になっても500km圏内では見つけ出すことの難しいオプションの19インチタイヤだった。

メルセデス・ベンツXクラス その3
メルセデス・ベンツXクラス その3

幸運にも、タイヤ交換が必要になるようなことはなく、ゴツゴツとした川床の横断は、このクルマのパートタイム式四輪駆動システムをテストする良い機会となったが、Xクラスはそのオフロード性能を見事に証明することに成功している。

ルート上の高速セクションに設置されていたキャトルグリッドと呼ばれる家畜逃走防止用の格子を通過する際には、サスペンション性能の限界も試すこととなったが、このクルマの強固なバンプストッパーは、金属同士が接触するような事態を防いでいた。

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