航続距離548kmの純EV フォルクスワーゲンID.3発表 注文は2020年を予定

公開 : 2019.09.10 10:40  更新 : 2021.02.02 18:46

ビートルとゴルフで自動車業界を牽引してきたフォルクスワーゲンから、シンプルなエクステリアデザインをまとった、新しい純EVが発表されました。2020年に注文が開始され、2021年から製造が開始となる予定です。

フォルクスワーゲンの第3章

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

フォルクスワーゲンとしてはゴルフ以来の重要なモデル、ID.3がフランクフルト・モーターショーで発表された。航続距離は548kmの純EVで、現地価格は2万7500ポンド(357万円)程度と見込まれている。

ID.3は2016年のパリ・モーターショーでコンセプトカーがお披露目されたクルマで、来年夏頃からの注文開始となる。その後SUVのID.CROZZ も量産へとシフトする予定。ID.のコンセプトカーとしては他にBUZZ、VIZZION、ROOMZZも発表されているが、2025年までに300万台のEVを生産するというフォルクスワーゲン・グループの計画を裏付けるものといえる。

フォルクスワーゲンID.3
フォルクスワーゲンID.3

ID.3は「すべてのひとのための電気自動車」と表現されており、車名にもその重要な位置づけが表れている。「3」とは、フォルクスワーゲンのビートルとゴルフに次ぐ、第3章を表しており、自社だけでなく世界的な自動車産業にとっても重要なモデルだと、フォルクスワーゲンは考えている。

ID.3は、純EV専用のスケーラブル・アーキテクチャとなる、新しいMEBプラットフォームを採用した初めてのクルマ。MEBプラットフォームは、ID.から当面の期間リリースされる、すべてのEVの骨格をなすという。またこのプラットフォームは、大手のフォード社にもライセンス供与するとしており、量産化によって、シャシー開発に要したコスト負担を軽くするとともに、販売価格の軽減にもつなげる意向がある。

3段階のバッテリー容量に2段階のモーター

電気自動車専用のプラットフォームを採用する大きなメリットのひとつは、車内空間を大きく取れること。ID.3は全長で3mm、全幅で10mm、全高で60mm、現行のゴルフよりも大きいだけながら、車内空間を左右するホイールベースは145mm長い2765mm。パサートよりも21mmだけ短いだけだ。ラゲッジスペースは380Lと、ゴルフと同等となる。

フォルクスワーゲンのデザインチーフを務めるクラウス・ビショフは「フロア下にバッテリーを搭載することで、ユニークなプロポーションを持っています。後輪駆動としてホイールベースを長く取り、オーバーハングは短くしています。基本的にボディデザインもID.のコンセプトカーと同じで、表面の処理などもかなり似通っています。できるだけシンプルに、キャラクターラインも最低限にしました」 と説明する。リアには空力性能を高める目的で大きなスポイラーが付き、ルーフやボディのリア周りの黒い部分はプラスティック製。

フォルクスワーゲンID.3
フォルクスワーゲンID.3

後輪駆動のID.3は「直感的な操縦性」と「驚異的な走行性能」を備えていると、フォルクスワーゲンは主張する。MEBプラットフォームによる優れた重量配分も大きく影響している。すでにAUTOCARではプロトタイプを試乗しているが「抑制の効いた自然なレスポンスはフォルクスワーゲンらしい。運転のしやすさもトップレベルにある」といい印象を与えてくれた。

ID.3に搭載されるバッテリー容量は3種類で、リアに搭載されるモーターの出力は2段階が用意される。45kWhのバッテリーは150psのモーターと組み合わされ、航続距離は330km。58kWhのバッテリーと77kWhのバッテリーには203psのモーターと組み合わされ、航続距離はそれぞれ418kmと548kmとなる。

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