エスティマやキューブなど 相次ぐ販売終了 小型/普通車の減、問題点と解決策
公開 : 2019.09.14 19:23 更新 : 2021.10.22 10:17
国内向けのクルマが次々と廃止。それぞれの車種に理由がありました。また、廃止には問題がつきまといます。海外で活躍する日本車の導入や新型の開発が期待されています。
販売10年以上経過の車種、廃止される運命?
このところ各メーカーともに国内向けの車種を次々と廃止している。
マツダはミニバンのビアンテを2017年、プレマシーは2018年に廃止した。
トヨタ・アシイスも2017年に終了している。今後はトヨタ・エスティマが10月、マークXは12月、日産キューブも2019年中に終了する。
日本向けの車種ではないが、三菱パジェロは2019年8月に国内販売を終えた。
これらの車種は設計が古く、10年以上を経過したもの見られる。
最近は安全装備や運転支援機能の進化が著しいが、緊急自動ブレーキの自転車検知、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールの装着などは、マイナーチェンジでは対応できないことも多い。
機能の向上にはフルモデルチェンジが必要だ。
そうなると発売から10年以上を経過した車種は、近々フルモデルチェンジを受けるか、それとも現行型で終了するかの二者択一になる(一部のオフロードSUVやスポーツカーには長寿モデルもある)。
その結果、エスティマ(発売は2006年)、キューブ(同2008年)、マークX(同2009年)などは、フルモデルチェンジを受けずに生産を終えることになった。
なぜ日本向けの車種、次々と生産終了?
先に挙げた生産を終えるクルマには、日本向けに開発された車種が多い。
エスティマやプレマシーはミニバンで、キューブも背の高いコンパクトカーだ。マークXも日本向けのセダンで、全幅を運転しやすい1800mm以下に抑えた。
生産を終えた理由は、需要の先行きがわかりにくいからだ。
トヨタ・エスティマ廃止のワケ
エスティマは背の高いミニバンでありながら、卵型の個性的な外観に特徴がある。人気車だった時期もあるが、最近はサイズの近いアルファード&ヴェルファイアがフルモデルチェンジされて販売も好調だ。
相対的にエスティマの売れ行きは下がった。
また少子高齢化により、今後ミニバンの売れ行きがさらに下がることも懸念され、エスティマをフルモデルチェンジしても十分な販売効果を得られるとは限らない。
そこでLサイズミニバンは、アルファード&ヴェルファイアに任せて、エスティマは終了することになった。
プレマシー/ビアンテ廃止のワケ
プレマシーやビアンテも同様だが、特に今のマツダは、魂動デザインでカッコ良く運転の楽しいクルマをめざしている。このコンセプトに対応できるのは、背の高いクルマではSUVが限界だ。
マツダは開発を集中させるために車種数を抑える必要があり、ミニバンはデザイン面の折り合いも悪いから生産を終えた。
日産キューブ廃止のワケ
キューブは和風の内装が特徴だ。ガラスルーフには障子からイメージを得た「SHOJIシェード」も備わり、車内を適度に明るい光で満たす。前後のシートはソファ風にデザインされ、座り心地は柔軟だ。
このようにキューブは高い天井で車内が広いだけでなく、クルマの持ち味が穏やかだ。外観も水平基調で角に丸みを持たせ、柔和な印象を受ける。今の日本車には、目を吊り上げた怒り顔が多いが、キューブは対称的だ。
ほかに似通ったコンパクトカーはなく、キューブは今でも人気が根強い。そこで日産は次期型も検討していたが、開発を凍結した。
今は環境性能の向上、自動運転に通じる運転支援技術の開発、通信機能の進化など、投資の対象も多いからだ。
そこに国内需要の不透明も加わり、キューブは現行型で終わることになった。
トヨタ・マークX廃止のワケ
マークXを廃止した背景には、セダンの人気低迷がある。ちなみに海外では、フォードがセダン市場からの撤退を表明した。