トヨタ・カローラ 海外の評価、ひと味違う 中国/アメリカ/東南アでの歴史と立ち位置
公開 : 2019.09.17 19:15 更新 : 2021.01.28 16:58
トヨタ・カローラ新型が本日発表。日本での進歩の歴史を振り返る一方で、中国/アメリカ/東南アジアで、日本と異なる受け入れられ方をしています。加藤久美子がレポートします。
カローラ=世界で一番生産された日本車
トヨタ・カローラという、まったく新しいクルマが発売されたのは1966年11月5日のことだった。
発売時のプレスリリースは冒頭に「トヨタ技術陣が数年の歳月を費やし、技術の粋を集めて世に送るわが国大衆車市場の本命ともいうべき5人乗り乗用車である」と記されている。
第二次世界大戦での敗戦から21年。後に世界を席巻する日本の「大衆車」はこの時に生まれたのである。
1970年には販売台数累計が125万台となり、その後わずか12年後の1983年に1000万台を突破。この年にフルモデルチェンジを受け5代目となっており、この代から4ドアセダン系はFFを初採用、レビンやトレノ(いわゆるAE85/86系)にはFRを残した。
また、大衆車として世界初の4速ATを採用し、FFの利点を生かした使いやすい快適なパッケージングによって、日本を含めグローバルでも高い評価を得ることになった。
モデルチェンジが功を奏したのか?
翌1984年には国内572万台、海外574万台とついに海外での累計販売台数が国内のそれを超え、その後、海外での販売台数は倍速で増加。4000万台を達成した2012年には国内1230万台、海外2825万台と海外での累計販売台数が日本の約2.3倍にも達している。
発売から約50年となる2016年9月にはグローバル累計販売台数約4410万台を記録。もちろん、「世界で一番多く生産された普通自動車」だ。
なお、2017年の世界販売台数はカローラが116万495台、2位はホンダ・シビック(83万3017台)、3位がフォルクスワーゲン・ゴルフ(78万8044台)と、2位以下に大差を付けての堂々1位となっている。
中国、日産シルフィと日本車トップ争い
日本では今日、新型カローラが発表となった。中国では2018年11月開催の広州モーターショーでお披露目され、2019年5月から販売が開始された。
中国において、トヨタ・カローラは製造会社(トヨタと中国メーカーの合弁会社)によって高級感を持たせた「カローラ」(一汽トヨタ)と、スポーティなイメージの「レビン」(広汽トヨタ)の2車種がある。
日本でいうところの、「カローラ」「スプリンター」や「レビン」「トレノ」と同様でヘッドライト周りなどの外観に多少の違いはあるが、中身はほぼ同じ仕様だ。
この新型カローラ。5月の発売から非常に良く売れている。どれくらい人気かというと、2019年8月の販売台数ではついに日本車トップ(全体では2位)となった。
実は中国市場では圧倒的人気を誇る日本車がある。日本では地味な存在の、日産シルフィ(軒逸)だ。
昨年は中国市場にて純電車(EV)も追加発売されており、今年4月の上海モーターショーではフルモデルチェンジを受け新型となった。
2018年の年間販売台数では約48万台を販売して堂々1位。ちなみにカローラはこの時37万6000台で5位となっている。
そして2019年春からはシルフィとカローラの日本車トップ争いが展開されている。最新(2019年7月)の販売台数データでは、カローラが2万6049台で1位フォルクスワーゲン・ラヴィダ、2位フォルクスワーゲン・ボーラに続く第3位、シルフィは2万5008台で6位、レビンが2万2811台で8位にランクインしている。
カローラ・レビン合計ではシルフィの2倍以上の販売台数となる。
ちなみに、2019年1月以来の販売台数ランキングではレビンが10位内に入ったのは2019年7月が初めてなので、新型カローラ・シリーズがいかに好調かわかる。