堀場製作所が買収 トップギアのテストコース なぜ? 中では何が? 現地ルポ 後編
公開 : 2019.09.22 18:50
後編ではホリバMIRAで進められている人材育成への取り組みをご紹介します。自動車発明以来、最大の変革期を迎える中にあって、未来のモビリティーづくりに関われることが喜びだとスタッフは話してくれました。番外編ではMIRAが生み出したマシンも登場します。
ホリバMIRAの魅力
「いま、研究開発を行うキャンパスの設置を進めているところです」と、且つてのコントロールタワーを含む3平方キロメートルの敷地が見渡せるオフィスでアレンは話す。
ここからであれば、デジタル接続によって走行中の車両と基地局間の通信が可能な新たな市街地コースが一望できるが、現在この場所はドライバー支援システムと自動運転、さらには交通管制技術開発に使用されている。
ボスワース・バトルフィールドに近すぎるという理由から反対論があったものの、直径300mもの巨大な円形アスファルト舗装路と、そこへと続く全長350mのアプローチルートを含む別のコース建設も始まっており、他にも自動駐車技術の開発とテストを行うためのコースが新設される予定だ。
「ホリバMIRAの素晴らしいところは、クローズドのサーキットがあるかと思えば、独立したエリアがあり、さらには、コネクテッドと自動運転モデル向けの高速道路インフラまで揃っているというところにあります」と、ホリバMIRAで技術トップを務めるグレアム・スチュアートは言う。
未来のモビリティーづくり
いまわれわれがいるのは、職業訓練コースから博士号取得まで、さまざまな授業を行っているテクノロジーセンターのロビーであり、ここでは誰もがコーヒーを飲んだり待ち合わせをしたり、EVを充電することもできる。
テクノロジーセンターの運営は地元教育機関とのパートナーシップのもとで行われており、開設以来8カ月間で3400人の学生を受け入れている。つまり、有能なエンジニアの育成も彼らが果たすべき役割の一環だということだ。
「いま自動車業界で進んでいる技術革新は、馬車から自動車への変革に匹敵するほどのものだと考えています」と、スチュワートは言う。
「それが楽しみのひとつでもあります。最高級のラグジュアリーモデルから、トゥクトゥクのような3輪タクシー、さらには無人走行車、主力の乗用車まで数多くのプロジェクトに関わることが出来ると言うのは素晴らしいことです。未来のモビリティーづくりに携わるチャンスです」
番外編1:自動車の未来を守れ
2015年、ハッカーたちがジープの車両を遠隔でハイジャックしてみせたことで、クライスラーは140万台もの車両リコールを行うとともに、われわれは自動車のネットワーク化が進むにつれ、単なるシステムエラーだけでなく、外部攻撃にも脆弱になるということを思い知らされた。
アクセルやトランスミッション、ステアリング、ブレーキが電子制御され、車内LANに接続されるということは、外部からの攻撃に脆くなるということを意味しており、映画「ワイルド・スピードICE BREAK」で、シャーリーズ・セロンが何百台ものクルマを遠隔で操作してみせたように、こうした事態はより現実的な脅威となっている。
こうした問題へのホリバMIRAからの回答がビークルレジリエンスいう考え方であり、いまや100人態勢で対応を進めている。
「サイバーセキュリティ―に関しては、これまの常識など通用しないと考えることが重要です」と、ビークルレジリエンス技術のトップ、アンソニー・マーティンは話している。
ホリバMIRAでは英国企業4社とともに重要なプロジェクトを進めているが、その目的はサイバーセキュリティ―と、ますます複雑さを増す車両におけるふたつの問題への対応で世界をリードすることであり、電磁磁耐性と、どんなパーツが取付けられても確実に動作するという機能安全がテーマだ。