フェラーリばかりのオークション開催 手頃なモンディアルから極上デイトナまで
公開 : 2019.09.23 20:50 更新 : 2020.12.08 18:39
9月21日に英国でフェラーリばかり34台が出品されたオークションが開催されました。その中からCLASSIC & SPORTS CARが選んだお気に入りの5台と、その価格をご紹介します。
34台の跳ね馬
英国ウォリックシャー州のダラス・バーストン・ポロ・クラブで9月21日、シルバーストーン・オークションズ社によるフェラーリだけのオークションが開催された。
このオークションには1970年代のスーパーカーから最近の限定モデルまで、34台の様々な跳ね馬が出品された。その中からわれわれの興味を惹いた5台をオークション結果とともにご紹介しよう。
エルトン・ジョンのデイトナ
1. 1972年製 フェラーリ365GTB/4 “デイトナ”
デイトナといえば、1070年代のフェラーリを代表するモデルだ(実際に発表されたのは1968年だが)。何百万もの人々を魅了し、数え切れないほどのベッドルームの壁にそのポスターが貼られた。
名車275GTB/4の後継として開発された365GTB/4は、米国の有名な24時間レースでフェラーリが1位から3位まで独占したことを讃え、通称「デイトナ」の名前で呼ばれる。その最大のライバルであるランボルギーニ・ミウラはいち早くミドシップ・レイアウトを採用していたが、フェラーリはフロント・エンジン/後輪駆動の方式に固執した。
それでも公称325psを発生する4.4L V12エンジンは、ピニンファリーナによる美しいボディを最高速度280km/hまで引っ張った。当時世界最速のロードカーであり、最も美しいクルマの1台でもあった。
1406台しか生産されなかったデイトナ(そのうち122台がスパイダー)はどの車両も貴重だが、今回のオークションに出品された右ハンドルの個体はさらに稀少だ。しかも特筆すべきは、有名ミュージシャンのエルトン・ジョンがかつて所有していたクルマであるということだ。
英国を代表するポップスターは、大ヒットを記録した7枚目のアルバム「黄昏のレンガ路」で稼いだ大金を投じ、1973年にこのクルマを購入。それから2年間ほど所有していた。
それから何人かオーナーが替わったものの、今でも美しい姿と素晴らしいコンディションを維持している。オークションでは落札に至らなかったが、現在47万5000ポンド(約6400万円)という価格で売りに出されている。
ジャミロクワイの365GTC/4
2. 1972年製 フェラーリ365GTC/4
365GTC/4はベースとなったデイトナと、エンジンやシャシー、サスペンションを共有する2+2シーターのクーペだが、稀少性はこちらの方が高い。1971年から72年の間に生産された台数は、わずか505台に過ぎないからだ。
また、多くの変更を施すことで、ある意味ではデイトナより良いクルマとして設計された。より低回転域のトルクを重視したエンジンは扱いやすく、乗り心地もソフトに仕立てられている。
先にご紹介したデイトナと同様、この365GTC/4もある有名人がドライブを楽しんだクルマだ。羨望を集める自動車コレクターとしても有名なジャミロクワイのシンガー、ジェイ・ケイが過去3年間ほど所有していたのだ。
この左ハンドルの車両は新車当時、米国で販売された1台だ。2014年に英国に渡り、コンクール・コンディションにレストアされた。2016年のロンドン・クラシックカー・ショーで展示されたこともある。
このクルマを気に入ったジョン・ケイはショー終了後、37万5000ポンド(約5000万円)で購入したという。それから3年が経ち、今回のオークションではジョン・ケイの購入額を大幅に下回る21万9375ポンド(約2950万円)で落札された。