英国バックヤードビルダー訪問記 ペンブルトン・モーターカンパニー編
公開 : 2019.09.29 18:50
続いてご紹介するのはモトグッチ製Vツインエンジンを積んだ美しい3ホイーラーを手掛けるバックヤードビルダーです。ウスターシャーの村にひっそりと佇むペンドルトン・モーターカンパニーが創り出しているのは、人生の楽しみそのものかも知れません。
ガイ・グレゴリー
テンペスト・オブ・イングランドからおよそ30km、まるで絵画のように美しいウスターシャーにあるバイトンの村にペンブルトン・モーターカンパニーはある。他の最高のバックヤードビルダーたちと同じく、ここも詳しい説明無しで見つけ出すことはほぼ不可能だろう。
ペンブルトン・モーターカンパニーでは、1910年代から20年代にかけて一世を風靡したサイクルカーと呼ばれる小さく安価な車両の生産を行っており、かつては英国ヒルクライムチャンピオンにも輝いたフィル・グレゴリーは、戦前のサイクルカーや古いオートバイにインスパイアされてこうしたモデルを生み出したのだ。
あまり大きな声では言えないが、素人目にはモーガンの3ホイーラーに見えるこの車両の特徴は、そのフロントに積まれたVツインのエンジンにある。
最初の車両はシトロエン2CVをベースに1999年に誕生している。ペンブルトン・スーパースポーツという名のこの車両に続いて、ブルックランズという名の4輪モデルが登場しており、フィルはキットカーとしておよそ500台を販売している。
スタッフは3人 それぞれに専門分野
4年後、当時20歳だった息子のガイがフィルのビジネスに加わると、ガイは自らの新たなビジョンのもと、18カ月後にはペンブルトンの設計見直しを明らかにするとともに、すべて完成車としての販売に切り替えており、さらにフィルはこの機に乗じて、自らは週に数日だけ働く熟練の組立職人になるべく、ガイに会社の舵取りを任せている。
ジョー・メイソンのまるでジャングルのようなガレージとは異なり、ガイのレンガ造りのワークショップはより近代的で整理されているが、決してつまらないというわけではない。非常によく整理されたふたつある車両組み立てルームには、工具棚や旋盤、作業台などが上手く配置され、組立中や完成した数台のペンブルトンが存在感を放っている。
ガイがスタッフを紹介してくれた。ジョニーは正規のメカニカルエンジニアであり、ガイのビジョンを実現するための技術的なサポートを行っている。
サムは名の知られたサンデーレーサーであり、美しく配置されたリアのディスクブレーキや完ぺきな加工が施されたギアシフトリンケージのローズジョイント、さらにはモトグッチ製の750cc Vツインエンジンをペンブルトンに搭載するための対策など、このマシンの詳細な技術要素に対応している。さらに、ペンブルトンの美しく見事な仕上がりを見せるボディの組立も彼の担当だ。