輸入車 なぜ日本でディーゼル人気? 一方で欧州の販売数は急低下 理由さぐる
公開 : 2019.12.03 17:30 更新 : 2021.10.09 23:53
日本市場で、ディーゼル車の人気が高まっています。低燃費/高トルク/自動車税や自動車重量税などへの税制優遇措置/補助金(一部モデル)などのメリットがあります。一方で欧州は、状況が違うようです。
過去5年 ディーゼル市場は5倍に急拡大
最近、日本を走る輸入車でディーゼル車を見かける機会が増えてきた。
ディーゼル車といえば「欧州では定番」というイメージを持つ日本人が多いはず。
それが「日本での輸入車ではディーゼルが定番」というトレンドに変わってきている。
海外自動車メーカー日本法人などによる業界団体、日本自動車輸入組合(略称JAIA)によると、輸入車全体に占める輸入ディーゼル車の、直近では2019年9月が30.1%、2019年10月では29.0%とほぼ3割をキープしている。
販売が伸び始めたのは5年ほど前からだ。
過去5年間の通年データで見ると、
2014年(6.1%)
2015年(10.1%)
2016年(17.2%)
2017年(21.8%)
2018年(23.2%)
と右肩上がりの傾向にある。
日本でのディーゼル輸入車の販売台数が増えている最大の要因は、各メーカーでのディーゼル車ラインナップが拡大しているからだ。
ブランド別では、アウディ、アルファ・ロメオ、シトロエン、ジャガー、DS、BMW、BMWアルピナ、フォルクスワーゲン、プジョー、ボルボ、メルセデス、ランドローバーでディーゼルエンジン搭載モデルが輸入されている。
では、どうして各社がこの数年で日本でディーゼル車を重視するようになったのか?
輸入車ブランド、ラインナップ増で商機
最大の理由は、ディーゼル車が欧州車のプレミアム性を強調する良いアイテムだからだ。
近年、日本車ではプレミアムブランドのレクサスが多モデル化して販売を伸ばしているが、なかでも有益性の高いハイブリッド車に輸入車からお客が流れている。
その他の日系メーカーでも、新車を企画する際のターゲットユーザー設定で「既存の輸入車層からの取り込み」を強調するようになった。
そうした状況で、輸入車の販売台数は2010年中盤には30万台をキープ。
市場は安定しているように見えるが、ドイツメーカーを筆頭としてモデル数を拡大している割には市場全体の拡大への影響は少なかった。
時計の針を少し戻すと、輸入車市場は80年代後半の経済バブル期をきっかけに10万台の壁を越えて一気に20万台へと飛躍。1996年に39万台をピークとなるが、リーマンショックの影響で日本市場全体が落ち込んだ2009年は16万台まで一気に縮小した。
こうしたアップダウンが激しい時代を超えて30万台時代になってきたとはいえ、市場を俯瞰すると輸入車は伸び悩みでいた。
そんな状況で、高性能化に加えてファッショナブルなライフスタイル系アイテムとしても様々な展開を積極的に進める日系ブランドに対して、「輸入車が選ばれる理由」としての決め手が必要だった。
それこそが、クリーンディーゼル車なのだ。
日常的な運転でのトルクフルな走り、そして長距離運転の際にガソリン車と大きな差がつく燃料費など、日本でもディーゼル乗用車を求める声が高まっている中で、輸入車ブランド各社はモデルラインナップ増で商機をつかもうとしている。