VWディーゼル問題 英の集団訴訟 審理開始 判決は来春に

公開 : 2019.12.05 11:20

2015年9月に発覚したVWグループのディーゼルゲート。欧米等では行政機関による起訴、罰金のほか、オーナーや投資家による集団訴訟が相次ぎました。イギリスでは2017年1月に集団訴訟が提起され、本年12月1日(現地時間)から審理が始まっています。

車両に『不正ソフト』は設置されていたか

text:Julian Rendell(ジュリアン・レンデル)
translation:Taeko Yamamoto(山本妙子)

高等法院(民事裁判所)の審理期間は2週間。今回はフォルクスワーゲンの2Lディーゼル車に「『不正』ソフトが設置されていたかどうか」の事実認定が争点となる。

集団訴訟を率いる弁護士団の中心メンバーはスレーターとゴードン。

問題発覚後4年が経過。まだ係争は続く。
問題発覚後4年が経過。まだ係争は続く。

「この審理が決定的なポイントになる」と彼らは言う。

また、集団訴訟の原告側責任者であるガレスは次のように述べた。

「フォルクスワーゲンは、この極めて有害なエピソードからクリーンになり、態度を改め、前へと進む機会がたくさんありました」

「それにもかかわらず、クルマのオーナーの主張を何百万ポンド(何億円)も費やして否定することを選びました」

一方、フォルクスワーゲンは、「高等法院でのわれわれの立場をしっかりと擁護し続けます」と述べた。

AUTOCARへの声明では、次のように主張している。

「フォルクスワーゲングループは、イギリスで販売されているどの車両にも 『不正』ソフトが設置されたことは一度もありません」

裁判の判決が下るのは来年春ごろの見込み。

両者の主張の違いとは

今回の集団訴訟では、フォルクスワーゲンによる不正行為の事実、車両オーナーの損害の発生、そしてその不正行為と損害の因果関係が認められるかが焦点となる。

これまで、両者は主に次の2つの点で主張を異にしてきた。

フォルクスワーゲンが勝った場合、原告が控訴する可能性は低い。  フォルクスワーゲンが負け控訴した場合、最終結果は2020年後半もしくは2021年までに持ち越されることになる。
フォルクスワーゲンが勝った場合、原告が控訴する可能性は低い。 フォルクスワーゲンが負け控訴した場合、最終結果は2020年後半もしくは2021年までに持ち越されることになる。

―車両のNOx排出量を2つのモード(テストと道路)で動作するようにプログラムしたソフトの設置がイギリスでは「不正」にあたるのかいなか。

―車両オーナーの損害発生の事実およびその損害額。

フォルクスワーゲンが勝った場合、原告が控訴する可能性は低い。

フォルクスワーゲンが負け控訴した場合、最終結果は2020年後半もしくは2021年までに持ち越されることになる。

最終的に有罪と判断された場合、裁判所はフォルクスワーゲンに対し、原告への賠償金の支払いを命じることができる。

スレーターとゴードンは、損害賠償額を数億ポンド(数百億円)と見積もっている。

一方、AUTOCARに提案された別の推定値によれば、合計で9700万ポンド(約137億円)となる。

これは彼ら弁護士団の予想を大きく下回ることにばかりか、原告のオーナー側にとっては訴訟費用をまかなうだけの金額にすぎない。

損害が想定を下回る場合、オーナーは和解で解決をはかる方が得策もしれない。

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