【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 後編
公開 : 2019.12.21 16:50 更新 : 2019.12.25 17:55
実車さながらのプラモデルやこだわりのメカニズムを備えたR/Cモデルを創り出すタミヤは、子供だけでなくクルマ好きであれば誰もが気になる存在ではないでしょうか? あの天才F1デザイナーが最初にクルマについて学んだのもタミヤのプラモデルだったと言います。
情熱は戦車にも 偶然の産物
そして、田宮俊作の情熱は戦車にも向かっている。
かつて彼は米国陸軍兵器博物館で、ドイツ軍のパンター戦車の下に潜り込んでまで、下回りの詳細な写真撮影を行っており、英国ボービントンにある戦車博物館では、タイガー戦車の細かなところまで写真を撮影しようと夜中まで粘ったこともある。
さらに、タミヤではポルシェ911の精巧なプラモデルを作るために実車を購入し、すべての詳細をチェックすべく社内で分解を行ったことがあった。
だが、その後ふたたび組み立てることができる人間が社内にはいなかったため、当時の輸入元からあきれ返ったメカニックを呼ぶハメになっている。
タミヤがプラモデルからR/Cモデルの世界へと足を踏み入れたのはほとんど偶然の産物だった。
ある日のランチタイム、滝文人というひとりのデザイナーが電動R/Cカーを走らせているのに田宮俊作は気が付いた。
滝が走らせていたのは、タミヤのF1マシンのプラモデルに、バッテリー式電動シャシーを組み合わせたものだったが、それこそ田宮俊作が探し求めていたものだったのだ。
タミヤ初のR/Cモデルは、1974年発売のシャーマン戦車であり、滝に刺激を受けて登場した初のR/Cカーは1976年のポルシェ934だった。
リアル・オフロードR/Cカー
だが、このポルシェのボディは専門家から絶賛されていたプラモデルをベースにしていたものの、販売面では決して成功したとは言えなかった。
R/Cカーとして世界で初めて実車と同じボディを再現することに成功していた一方、多くの改善点が残されていたのだ。
R/Cカーとしてはボディがあまりにも壊れやすく、非充電式の乾電池はパフォーマンスの面でも、寿命でも満足出来るものではなかった。
それでも、このR/Cカーはスマッシュヒットとなり、その後はさらに頑丈な一体成型のボディが登場している。
1970年代から1980年代にかけて登場したR/C専用モデルは、まだ免許の取れないクルマ好きの情熱に火をつけた、まさにアイコンと呼ぶべき存在だった。
そんな1台がワーゲンオフローダーであり、ビンガーによれば、バハ・バグの1/10サイズのレプリカであるこのモデルによって、タミヤ製R/Cモデルのフォーマットが完成したと言う。
初のリアル・オフロードR/Cカーであり、実際のバハ・バグを模したシャシーと、シールドギアボックス、オイルが充填されたダンパーを備え、ボディは一体成型されたABS樹脂製だった。
一旦はタミヤのラインナップから姿を消したものの、その後再び登場したことで、当時このモデルを手に入れることの出来なかったひとびとを喜ばせている。