【手動、消えゆく?】パーキングブレーキの今後はどうなるのか スイッチ式のメリットとは

公開 : 2019.12.29 16:50  更新 : 2021.10.13 13:58

手で、ぐいと上に引き上げていたパーキングブレーキをあまり見なくなりました。かわりに人差し指でポチッとひきあげる電子式が増えてきました。そうなった背景に、クルーズコントロールとの関係がありました。

手で上に引く? コラム式? あなたのクルマは

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

クルマを停めたときに使用するパーキングブレーキ。

日本では長らく運転手の横あたりに位置していたことからサイドブレーキと言われることもあるが、これは和製英語となっている。

これまでの主流ともいえた手でレバーを引くタイプのパーキングブレーキ。
これまでの主流ともいえた手でレバーを引くタイプのパーキングブレーキ。

そもそもパーキングブレーキとはその名の通りパーキング=駐車をするときに用いるブレーキであり、ドライバーが降りてもクルマが動かないようにブレーキを保持する装置。

そのため、当然軽自動車からトラックまで、車種を問わず備わっているものである。

そんなパーキングブレーキは、前述したようにドライバーの横のセンターコンソールが長らく定位置となっていたが、クルマが多様化するなかでその場所も変遷を重ねてきた。

例えばフロントシートが3人掛けのベンチシートになっているような車種では、センターコンソールにパーキングブレーキを設置することが難しい。

そのため、インパネ奥から伸びるステッキ式が採用されていた。これは現在でもトヨタのハイエースなどで見ることができる。

また、ウォークスルーなどができるミニバンなどではそもそもセンターコンソールが存在しない。よって足踏み式のパーキングブレーキを採用する車種が増えていた。

これはクラッチペダルが備わらないAT車が一般的となったという側面も影響しているだろう。

最近増え続けている電動パーキングブレーキ

そして最近、多くの車種に採用され始めているのが、電動式のパーキングブレーキである。

従来のパーキングブレーキは、その位置こそさまざまだったが、基本的にはワイヤーを用いて機械的にパーキングブレーキを作動させるタイプとなっていた。

電動パーキングブレーキが増え続けている背景には、最近多くの車種に採用されるようになってきた「全車速追従型クルーズコントロール」の存在がある。
電動パーキングブレーキが増え続けている背景には、最近多くの車種に採用されるようになってきた「全車速追従型クルーズコントロール」の存在がある。

一方の電動式はパーキングブレーキを作動させるのはスイッチひとつであり、機械的な動作は不要となっている(もちろんブレーキ自体は機械的に作動するが)。

そのため、内装の自由度はより高くなり、ユーザーにとっての利便性も高まっているのだ。

動作や解除を電気的に行っているため、車種によってはPレンジに入れると自動的にパーキングブレーキがかかるものや、パーキングブレーキがかかっている状態でもDレンジに入れてアクセルを踏めば自動的に解除されるものも存在している。

そして電動パーキングブレーキが増え続けている背景には、最近多くの車種に採用されるようになってきた「全車速追従型クルーズコントロール」の存在がある。

このタイプのクルーズコントロールは、前走車が停止すれば自車も停止、前走車が発進すれば再発進する(スイッチ操作が必要な車種もあるが)ようになっている。

このとき、停止状態を保持するために実はパーキングブレーキを使用しており、その制御をするために電動パーキングブレーキが必要というわけなのだ。

このことは追従型クルーズコントロールをいち早く知らしめたスバルのアイサイト(Ver.3)の説明ページにも「停止保持機能非搭載車(電動パーキングブレーキ非搭載車)」と記載があることからもおわかりいただけるだろう。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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