【手に入れるなら今?!】BMW Z3 Mクーペ 価格は高騰中 中古車、5つの注意ポイント
公開 : 2019.12.29 08:50 更新 : 2019.12.29 11:44
BMW Z3 Mクーペのバイヤーズガイドです。その希少性からいまや価格高騰が始まったことで、ガレージに仕舞い込まれる車両が増えているようですが、やはりこのクルマの魅力はそのドライビング性能にあります。S50とS54、2種類のエンジンを積んだこのクルマの魅力に迫ります。
ガレージの女王
1998年から2002年にかけてラインナップされていたBMW Z3 Mクーペについて、ある専門家は「ガレージの女王」だと評している。
「ガレージのなかで価格が高騰するのを待っているのです」と、彼はさも不満げな様子だ。
偶然話を聞くことができた、2万6945ポンド(392万円)で2000年登録、走行距離13万4000kmの車両を売りに出しているある個人オーナーも、昨年9月にオークションで手に入れたこのクルマを売却する理由は、単に購入した価格よりも高く売れるからだと言う。
「ほとんど運転していません」と彼は素直に話す。
決して褒められたことではないが、それも当然かもしれない。2018年末時点で、英国におけるこの驚くべきモデルの生息数は500台を切っており、その半数はいまも路上を走っているが、残り半数は登録が抹消された状態(まさに「ガレージの女王」だ)となっているのだ。
彼らは英国で販売された990台の生き残りであり、821台が初期のS50エンジンを、残りがS54エンジンを積んでいた。
S50エンジンを積んだ車両には、危険な状況でドライバーを助ける電子制御が搭載されていなかったことを考えれば、この生存率は悪くないと言えるだろう。
当然、こうした希少性を背景に近年このクルマの価格は高騰を続けている。
興味深いスタート
2012年、過走行の車両であれば9000ポンドから手に入れることが出来、例え最高のコンディションを保っていてもその価格は約2万ポンドだった。
それがいまやこのクルマの価格はその2倍、時には3倍にも達しており、過走行のそれなりの個体でさえ2万ポンド(291万円)から、最高のコンディションを保った低走行の2002年登録の個体を手に入れるには6万ポンド(872万円)を支払う必要がある。
では、そこまでの価格で購入するのはどんなモデルだろう?
このクルマの始まりは、自動車世界でももっとも興味深い賭けのひとつだったと言える。
Z3 Mロードスターがすでに成功していたものの、BMWのエンジニアたちはこのロードスターとE36世代のM3のコンポーネントを組み合わせて、より強烈なクーペバージョンを生み出したいと考えたのだ。
経営陣は悩んだようだが、空き時間を使ってエンジニアたちが創り上げた試作モデルを見た彼らは驚き、そしてプロジェクトにゴーサインを出している。
フェイスリフト前のモデルにはE36 M3譲りの3.2L S50直列6気筒エンジンが積まれ、その322psのパワーは5速マニュアルギアボックスとリミテッドスリップディフェレンシャルを介して、後輪へと伝えられていた。
当初このクルマのルックスは批判され、なかにはピエロの履く靴のようだと言うものまでいたが、その走りに一切の妥協はなかった。