【レクサス次のEVは?】レクサス「UX 300e」に次ぐレクサスEV導入まで少し時間がかかるワケ
公開 : 2019.12.30 11:50 更新 : 2021.10.09 23:53
レクサスが目指す新たなるブランドイメージが見えてきました。先日、UXのEV版「UX 300e」を発表。筆者(桃田健史)は、攻めの姿勢が印象的だったようです。次のEVまで時間がかかるワケを考察します。
攻めの走りを感じたUX 300e
レクサス初となるEV(電気自動車)のUX300e。
レクサスのSUVラインアップの中ではエントリーモデルであるUXをベースにフル電動のパワートレインを採用したモデルだ。
駆動方式はガソリン車のUX200、ハイブリッド車のUX250hと同じくFF(前輪駆動)を採用。駆動用の4KM型モーターは、最高出力150kw、最大出力300Nm。
駆動用電池は、パナソニック製のリチウムイオン二次電池で、バッテリーパック全体の容量は54.3kwh、満充電での航続距離は400km(NEDCモード)である。
同じくEVである日産リーフと比べると、ベースモデルはモーターの最高出力110kw、最大トルク320Nm、電池容量40kwh、航続距離が400km(JC08モード)。
また、ハイグレードモデルのe+では、最高出力160kw、最大トルク340Nm、電池容量62kwh、航続距離570km。
こうした数値だけを比較すると、UX 300eの走行性能は、リーフとリーフe+の中間をイメージする。
だが、筆者(桃田健史)が2019年11月にトヨタ東富士研究所(静岡県裾野市)でUX 300eを試乗して感じたのだ、レクサスの「攻めの姿勢」だった。
そこには、レクサスが目指す新たなるブランドイメージが見えてきた。
UX 300e登場の背景とは?
UX300eが発表されたのは、東富士研究所での試乗から約1か月後、中国の広州モーターショーだった。
なぜ、中国でワールドプレミア(世界初公開)としたのか?
最大の理由は、中国政府に対するアピールだ。
中国では2019年から全土で新エネルギー車(NEV)に関する政策を施行している。
NEV施策は、中国政府が所管する中国自動車技術研究センター(CATARC)と、米カリフォルニア州の環境車の研究を行うカリフォルニア州デービス校が連携。
同州で1990年から実施されているゼロ・エミッション・ヴィークル(ZEV)規制法を参考に考案された。
こうした米中が連携する実質的なEV数量規制に対して、トヨタとしては2019年4月の上海モーターショーでC-HR EVをワールドプレミア。その7か月後、今度はレクサスとしてはUX 300eを広州モーターショーで披露したことになる。
さらに深堀りすると、2010年代中盤に中国政府がNEV政策の準備を始めた際、トヨタは中国政府に対して「EV、燃料電池車、プラグインハイブリッド車のほかに、ハイブリッド車もNEVとしてカウントしてもらうよう働きかけをしている」(当時のトヨタ中国担当役員)という動きを見せていた。
一方で、EVも中国でしっかりと投入する、という意思表示をトヨタとしては中国政府に早期に示す必要があったといえる。