【比較】トヨタGRヤリスとノーマル・ヤリス どう違うのか ライバルは存在する? 検証

公開 : 2020.01.14 18:50  更新 : 2021.03.05 18:45

GRヤリス どんなクルマがライバル?

GRヤリスの登場を目の当たりにして、多くのクルマ好きが「GRヤリスのライバルは?」などと考えていることだろう。

ベースのヤリスはBセグメントのハッチバックだ。GRヤリスは、そのハイパワーモデル、いわゆる「ホットハッチ」とか、かつては「ボーイズレーサー」などと呼ばれたモデルと想像しがちだ。

新型ルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)のR.S.バージョンがライバルになる?
新型ルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)のR.S.バージョンがライバルになる?

それならば、日本車ならスズキスイフト・スポーツ、輸入車ならフォルクスワーゲン・ポロGTIやルノー・ルーテシア(本国名クリオ)R.S.あたりがライバルか…と思われるかもしれないが、そうではない。

これらのモデルとは、誕生の仕方から異なっているのだ。

スイフト・スポーツやポロGTIなどで、モータースポーツに参戦する人もいる。そのプロセスは「市販車をモータースポーツのレギュレーションに合わせて改造する」というもの。つまり、市販車ありき、ということだ。

だが、GRヤリスは「モータースポーツで勝つために市販車を開発する」というプロセスで作られたのだ。

このやり方は、かつてWRCで勝つために作られたランチア・ストラトスやランチア・デルタ・インテグラーレ、最近ではニュルブルクリンクのFF最速ラップタイムを競い合うルノー・メガーヌ・R.S.とホンダシビック・タイプR、そして日産GT-Rなどの手法に近いと言えるだろう。

極端な言い方をすれば、BセグメントにGRヤリスのライバルはいない。

新型ルーテシアのR.S.がGRヤリスを意識したモデルとして登場すれば面白いのだが、実際の登場は少し先になりそうだ。

GRヤリスの価格、けっして高くない?

GRヤリスの凄さは、クルマの開発プロセスだけではない。

トヨタはGRヤリスを生産する専用の「GRファクトリー」と呼ばれるラインを新設したが、このファクトリーにはコンベアがなく、熟練工が超高精度の組み付けを行う。まさに手造り感覚で少量生産される。

2020年仕様ヤリスWRC
2020年仕様ヤリスWRC

そんなGRヤリス、現在はウェブで事前予約が開始され、車両価格は特別仕様車のRZ「First Edition」が396万円、RZ「High-performance・First Edition」が456万円(いずれも税込)。

「3気筒1.6Lターボの小型ハッチバックに400万円以上!?」と思われる人は、端からターゲットにはされていない。

たとえば日産GT-Rはサイズもクラスも違うとはいえ、いまや1000万円以上のプライスが付けられている。

GRヤリスと同じ東京オートサロンの会場で発表されたメガーヌR.S.のトロフィーRは、FFだが1.8Lターボで700万円近い。この夏に復活予定のシビック・タイプRはFFの2.0Lターボで、おそらく500万円近い価格となるだろう。

GRヤリスは、こうしたモータースポーツで活躍するために生まれたクルマたちと同じフィロソフィーとパフォーマンスを、より安いプライスで手に入れることができる。

そう考えれば、GRヤリスの価格はむしろバーゲンプライスとも言える。

いずれは、モータースポーツ用に装備を簡略化したグレードも登場するだろう。近い将来のWRCではGRヤリスをベースとしたWRカーが活躍し、国内ラリー選手権やダートトライアルなどでは、GRヤリスが席巻するに違いない。

GRヤリスのライバルは、GRヤリス自身なのかもしれない。

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