【あなたにもチャンスあり?】フォーミュラ1 eスポーツ・シリーズを体験 リアルとバーチャル、垣根は小さく
公開 : 2020.02.09 18:50 更新 : 2021.07.12 18:32
2017年にF1公認ゲームソフトを使って始まったeスポーツ・シリーズでは、イコールコンディションによって本物以上の熱いバトルが展開され、数多くの視聴者を惹きつけています。実際のレースとは違うという意見もありますが、ドライバーたちのスキルは本物です。
F1の未来?
F1の未来はサーキットだけでなく、オックスフォード郊外にある巨大なコンクリート製建物の奥深くでも見つけ出すことが出来る。
ルノーF1チームが保有するオペレーションセンターの一角では、新世代のドライバーたちが本物のサーキットの替わりに、バーチャルのコースを舞台にトレーニングに励んでいる。
彼らが使用しているのは、数百万ポンドもする本格的なシミュレーターではなくソニーのプレイステーションであり、F1公認の最新ゲームソフトがあれば誰でも参加することが出来る。
若年層のファン獲得に向け、F1を所有するリバティ・メディアも後押しするeスポーツの世界へようこそ。
ルノースポーツでコマーシャルディレクターを務めるアントニー・マニャンは、eスポーツ拡大の背景について、「F1視聴者の平均年齢は39歳ですが、eスポーツの視聴者の80%はそれよりも若いひとびとです。こうしたひとびとを惹きつけることが出来れば、F1やモータースポーツ全体のファン層拡大に繋がります」と、説明する。
昨年、こうした視聴者の数は580万人だったが、その多くがこれまでのTV中継ではなく、ユーチューブやライブストリーミング専用のウェブサイト、Twitchからの視聴へと移行している。
F1のeスポーツ・シリーズでは、1シーズンで4つのイベントが開催されており、各イベントでは3つのレースが行われ、その走行距離は実際のレースの1/3に設定されている。
各チームではそれぞれカラーリングは異なるものの、実質的に同じバーチャルマシンを使用しており、白熱したレースが展開される。
ドライバーは独自のセットアップとタイヤ戦略を選択することが出来るが、どのチームも圧倒的な強さを発揮することは出来ていない。
2018年は最下位に沈んだルノーだったが、昨シーズンは4位でシーズンを終えており、2019年シーズン、実際のレースとは異なり、メルセデスは一度も表彰台に上がることが出来なかった。
競争は厳しく
実際のF1に参戦しているチームはすべてeスポーツにも参加する必要があるが、ルノーの取り組みは単にプレイヤーにブランドロゴが付いたユニフォームを提供しているだけには留まらない。
eスポーツのプレイヤーにも、1日8時間をバケットシートで過ごしても、ダメージを受けることのない姿勢を保てるよう、ルノー・アカデミーのドライバーと同じフィットネスプログラムを提供している。
「もしこれが上手く行けば、eスポーツ全般に取り入れたいと考えています」と、ルノーのヒューマン・パフォーマンス・センターで責任者を務めるデビッド・トンプソンは話す。
「肉体的な要求レベルは異なるかも知れませんが、トレーニングは必要です」
だが、目的はプレイヤーたちが実際のレースに参加出来るようになることではなく、eスポーツで最高のパフォーマンスを発揮できるレベルを維持することにある。
フォーミュラ・ルノー・ユーロカップに参戦するなど、実際のサーキット経験を持つルノーのスタープレイヤー、ヤルノ・オプメールは、「お陰で他のプレイヤーに対する優位性があると考えています」と、話している。
「何人かは本当に素晴らしいドライバーがいます。ですが、彼らには本物のドライビングから得られる実際のレースマシンやサーキットに関する知見が足りないのです」
オプメールはエプストーンにあるルノーの拠点近くに住んでおり、毎日8時間近くを練習に費やしているという。
実際のF1同様、ドライバーたちは自らのシートを維持するためにパフォーマンスを発揮し続ける必要があるのだ。
毎年予選には数万人ものプレイヤーが参加しており、そのなかでも最高のドライバーだけがシリーズのプロ・ドラフトへと進むのであり、さらにそこから実際のF1チームからプロ・シリーズに出場するドライバーが選抜されている。