【2.1億円で落札】フェラーリ212インテル・カブリオレ、庶民派オークションで1番値

公開 : 2020.02.10 06:10  更新 : 2021.10.11 09:30

1950年代のフェラーリが、2.1億円で落札。また、特別なF512Mに3000万円オーバーの値がつきました。ボナムス・スコッツデイル・オークションの解説、前編です。

値ごろ車多めの競売で、億超え

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo: BONHAMS

コレクターズカー・オークション界のリーダーであるボナムスが、1月に行われる全米規模の巨大なカーショーにリンクして、2020年初となるオークションを開催した。

カーショーはアメリカの一般的なクルマ好きに向けたものだけに、高額車両は少数に留め、手頃な額のクルマたちを用意してRMサザビーズと真逆の内容で行った。

212インテル・カブリオレ
212インテル・カブリオレ

110台が用意された中で、予想落札額が3万ドル(330万円)以下の車両は23.6%。5万ドル(550万円)まで広げると43.6%を占め、今回は一般的なクルマ好きを対象としたオークションであったことが分かる。

ちなみに100万ドル(1億1000万円)以上の予想落札額が掲げられたのはわずか5台だけだった。

庶民派といえる内容で始まったボナムス・スコッツデイル・オークションだが、最高落札額を記録したのは5台のみ用意された100万ドル超え車の1台。1951年「フェラーリ212インテル・カブリオレ」だった。

ビニャーレのコーチワーク

ビニャーレが手がけたボディをまとう「212インテル・カブリオレ」は、2014年のペブルビーチ・コンクールデレガンスにおいて、クラス2位を獲得した個体そのものである。

その時に1位となったのが、映画監督のロベルト・ロッゼリーニがオーダーした375MM(バーグマン・クーペ)で、同コンクールのベスト・オブ・ショーにも輝いていることを考えれば、価値ある2位であったことがよく分かるだろう。

212インテル・カブリオレ
212インテル・カブリオレ

「212インテル・カブリオレ」のボナムス・スコッツデイル・オークションにおける落札額は、2億1230万円。今回のオークションで1億円を越えた唯一のクルマとなった。

F512M 3000万円超え

ボナムス・スコッツデイル・オークションの落札額ベスト5は下記の通り。

前述の212インテル・カブリオレ(2億1230万円)、1955年ランチア・アウレリアB24Sスパイダー・アメリカ(8910万円)、1924年ロールス・ロイス・シルバーゴースト・ピカデリー・スペシャル・ロードスター(4048万円)、1995年フェラーリF512M(3443万円)、1992年ダッジ・ヴァイパーRT/10(3141万円)という変化に富んだベスト5だ。

3443万円で落札されたフェラーリF512M
3443万円で落札されたフェラーリF512M

この中でフェラーリF512Mは、北米向けに生産された75台のなかの1台。ツールキット、書類、整備記録が残っているうえに、往年のカタログカラーであるフライイエローに塗られた特注の個体ということから相場を大きく超える額で落札された。

5番値を記録したヴァイパーは生産1号車であることに加え、走行が6500マイル(1万400km)というコンディションの良さが評価され通常の約3倍まで値を上げている。

開催前から注目されていたのが新車から同じ家族が所有していたランボルギーニ・ミウラSだ。現在レストアが必要なコンディションにあったが、手が加えられておらずオリジナルを良く保っていた。

しかしレストア費を勘案すると値付けが微妙だったようで、予想落札額の1億1000〜1億4300万円まで届かずに流れてしまった。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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