【死ぬまでに一度は運転しておくべき?】最高の50台 一挙ご紹介 1位を発表
公開 : 2020.03.01 18:50 更新 : 2021.02.17 17:44
英国版AUTOCARスタッフ、アンドリュー・フランケルが独断と偏見で死ぬまでに運転しておくべき50台をリストアップしました。控え目とも言えるモデルからスーパーカーまで、ランクインしたのはいずれも個性溢れる1台ですが、1位となったのは納得のあのクルマでした。
1位:フェラーリF40
それほど頻繁にではなかったが、これまで運転したなかで最高のロードカーというフェラーリF40の地位が揺らいだことは確かにあった。
数年前、ラフェラーリが登場した時や、かなり前だがマクラーレンF1のステアリングを握った時がそうだった。
だが、落ち着いて考えてみれば、やはりエンツォ最後のモデル、F40がトップであることに変わりはなかったのだ。
F40とはまさにエンツォそのものだ。
つまり、大胆で率直。
「このクルマは速すぎる。漏らすなよ」というエンツォの発言が伝えられている。
1987年当時はそう言われても仕方なかったかも知れないが、われわれも恐怖には慣れて来ている。
もはやかつてのように、テレビで映画「サイコ」が始まっても部屋を飛び出したり、「エクソシスト」が上映されても吐き気をもよおしたりはしないのであり、ポール・ヴィンケルマンが所有するF40のシートに身を委ねても危険はないだろう。
だが、それがコッツウォルズにあるボブ・ホートンのフェラーリ専門ガレージ、BHフェラーリからこのクルマを借りてきた理由ではない。
このクルマがどれほどの速さを備えているかなどとは関係なく、F40をこの目で見て、そのサウンドを耳にし、そして何より最後にもう一度、五感でこのクルマを体験したかったのだ。
これで十分
ポールのF40は完ぺきな状態とは程遠いからこそ、完ぺきだと言える。
完全にオリジナルの状態を保っており、触媒コンバーターもなければ調整式サスペンションも備えていない。
BHフェラーリにおけるF40の第一人者、ラッセル・スミスによれば、所有するにはもっとも理想的な個体だと言う。
ボディには目立たない傷がついているが、中味の状態は完ぺきで、完全にスタンダードなスペックを保ちつつ、最高の状態が維持されている。
そして、いつも通り決まり事もない。
キーが手渡され、気が済むまで走り回ることが出来るのだ。
素晴らしい。
F40へと近づくと、まずこのクルマのスタイリングが自らを主張する。
そしてドアを開けるとそこにはまったく虚飾などない。
バケットシートに腰を下ろすと、カーペットなどない剥き出しのフットウェルのうえ、カーボンファイバー製トンネルのなかに足を投げ出す形になる。
ドアハンドルは単なるケーブルであり、ダイアルはシンプルなブラックの文字盤にホワイトの表示だ。ダッシュボードは光りの反射を最小限に抑えるべくフェルトで覆われている。
辛うじてベンチレーションは備わっているが、それだけだ。そしてそれだけで十分だろう。