【2.9億円で落札】フェラーリ・エンツォが競売に デイトナは値下がり RMサザビーズ・オークション分析

公開 : 2020.03.18 07:10  更新 : 2021.10.11 09:31

北米のオークションに、フェラーリ・エンツォが登場。2.9億円で落札されました。しかし、他のフェラーリには値下がり傾向も。競売の動向をレポートします。

コンクール併催のオークション

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:RMSotherby’s

アメリカ東海岸のフロリダで、恒例のイベントとして長い歴史を持つのがアメリアアイランド・コンクール・デレガンスである。今年もそのコンクール・デレガンスに集まるファンを対象にしたオークションが3件開かれた。

その1つがRMサザビーズによるアメリアアイランド・オークション。コレクターズカー・オークションのリーダー格だけに、高額な希少車からお値頃モデルまで幅広く用意され、コンクールの方向性に合わせて戦前の車両が数多く用意されるのが特徴だ。

旧いクルマが中心のオークションだったが、終わってみれば最高落札額を記録したのはフェラーリ・エンツォ。
旧いクルマが中心のオークションだったが、終わってみれば最高落札額を記録したのはフェラーリ・エンツォ。

出品された146台中42台が戦前車であることからも分かろう。

オークションは2日間にわたり行われ、1日目はモダンモデル、2日目は戦前車と戦後の渋めのモデルを中心とした内容だった。

2日間の入札を終えた結果は、RMサザビーズのアメリアアイランドらしいものとなった。

最高落札額 フェラーリ・エンツォ

最高落札額は順当に2003年フェラーリ・エンツォの2億9495万円だった。アメリカ仕様で走行2720kmという新車同様のコンディションが評価され高額で落札された。

フェラーリ・エンツォに続く2番値はアメリアアイランドらしく1938年ブガッティ・タイプ57カブリオレが1億7543万円で続く。

高値No.1 2003年フェラーリ・エンツォ(2億9495万円)
高値No.1 2003年フェラーリ・エンツォ(2億9495万円)

以下、1963年フェラーリ250 GT/Lルッソ(1億6960万円)、1961年フェラーリ250GTカブリオレ・ピニンファリーナ・シリーズII(1億4337万円)、1932年デューセンバーグ・モデルJステーショナリー・ヴィクトリア(1億4045万円)というベスト5。

フェラーリとヴィンテージモデルが並ぶいつもとは違った結果となった。

デイトナは5300万円

オークションの主役といえるフェラーリだが、人気モデル以外は値下がり傾向にある。

ピーク時は1億を超えたフェラーリ365GTB/4デイトナは、5300万円という結果に終わる。

1973年フェラーリ365GTB/4 デイトナ(5300万円)
1973年フェラーリ365GTB/4 デイトナ(5300万円)

同様にピーク時に3500万円を記録した308GTBヴェトロレジーナは、アメリカ仕様ということもあり1751万円。512BBiは、2672万円で終えている。

注目を集めたのが、550バルケッタの量産プロトタイプで、通常モデルの約1.5倍となる4484万円まで値を上げた。

明暗分けた戦前車

42台が用意された戦前車だが、その結果は二極化が進んでいた。億超えで落札される特別なモデルがある一方で、1/3が10万ドル(1060万円)以下に。

良好なコンディションにある1937年ロールス・ロイス25/30セダンカ・ドヴィルが、格安といえる4.928万ドル(523万円)で終えてしまった。

1937年ロールス・ロイス25/30セダンカ・ドヴィル(523万円)
1937年ロールス・ロイス25/30セダンカ・ドヴィル(523万円)

コレクターの世代交代が進み、戦前車を求める層が減っているため、極め付きのクルマは高値をつけるが、魅力の乏しいクルマは安価で落札されるようになってしまった。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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