【AMG製NA V8サウンドを我が手に】メルセデスSLK 55 AMG 英国版中古車ガイド
公開 : 2020.04.07 10:20 更新 : 2021.07.12 18:46
電動ハードトップのバリオルーフを採用した2代目となる、R171型のメルセデスSLK 55 AMG。AMG製のV8サウンドには、思わず聞き惚れてしまいます。ハイパワーがゆえに注意するべき点も少なくありません。詳しく見ていきましょう。
ハイパワーで重たいエンジンだからこそ
中古車を選ぶ場合、できるだけ多くの情報を売り手から聞き出したい。紹介用の写真からでも、状態を推測できることがある。
筆者が見つけた、2005年式のメルセデス・ベンツSLK 55 AMGを例に挙げてみよう。価格は1万3995ポンド(188万円)で、走行距離は14万4000kmほど。英国では概して長距離を走るから、走行距離は多めだ。
写真は、手入れされた所有者の敷地で撮影されているようだ。きれいに刈り込まれた生け垣に沿って、クルマ用の道が伸びている。おそらく売り手自慢の自宅だろう。
売りに出ているクルマも、オーナーは誇りに思って乗ってきた様子。紹介文には「エンジンオイルは、モービル1かシェルVパワーを選んできました。16本のプラグを最近すべて交換しています」
「整備記録も完全に残っています。バリオルーフの動作は完璧。ゴム製のシール部分も、柔軟性を保てるケア剤を定期的に塗っています」 と記してある。
トランスミッションのバルブボディ、エンジンマウント、フロント・ウイッシュボーン、シャシー・ブッシュ、ショックアブソーバーが交換済み。指摘する場所はなさそうだ。
SLK 55 AMGは重いクルマで、フロントサスペンションへの負担は大きい。ウイッシュボーンへの負荷も無視できない。エンジンマウントがヘタると、不具合を招く原因となる。ダンパーのオイル滲みやリアスプリングの破損は、R171型SLKに共通する弱点。
7速ATは手間いらずなユニットではない。新しいバルブボディに変えても不思議ではない。売り手も良い状態だと書いているが、ちゃんと理解して維持していることが伺える。
思わず虜になるAMG製V8エンジン
メルセデス・ベンツSLK 55 AMGが発売されたのは2004年。5.4Lという大排気量の自然吸気V8エンジンを搭載し、360psを発揮した。パドルシフト付きの7速ATを介して、後輪を駆動する。
AMG専用のボディに18インチ・アルミホイール、専用サスペンション、4本出しのマフラーなどが標準装備。欲しいオプションは、ハーマン・カードン製のオーディオと、エアスカーフと呼ばれた首元のヒーターだろう。
当時4500ポンド(60万円)で選べた、AMGパフォーマンス・パッケージも嬉しいオプション。コンポジット・ブレーキに引き締まったサスペンション、セパレートリムのアルミホイールがセットになる。スピードリミッターも249km/hから280km/hへと緩くなる。
2年後の2006年、ハードコアなブラック・エディションが登場。399psを誇った。フェンダーは広げられ、調整式のダンパーにデュアルモード付きのトランスミッション、ストラットブレース、バケットシートとリアウィングなどを獲得。
カーボンファイバー製の固定式ルーフとなり、45kgの軽量化も果たしている。当時のメルセデス・ベンツは世界中で100台以下の販売を予定しており、いま中古車として出てくる可能性は低い。
だが、英国では2007年式のクルマを見つけた。価格は2万7971ポンド(377万円)で、メルセデス・ベンツでの整備記録が揃い、走行距離はわずか4万1800kmほど。
フェイスリフトを受けたのは、生産終了2年前の2008年。見た目の違いはフロントバンパーで、両端のエアベントの形状が変わり、ヘッドライトの内側がブラックアウトされている。
同時にATの変速がクイックになり、可変ステアリングシステムを獲得。フェイスリフト前の方がフロントブレーキの性能は良いが、部品は高価だ。