【軽トラック】知る人ぞ知る「農協仕様」が存在 装備、何が違う? サンバー vs キャリイの構図
公開 : 2020.04.19 05:50 更新 : 2020.05.17 20:23
軽トラック。日本の風土や日本人の生活に深く関わってきました。そんな「軽トラ」のなかに、あまり知られていない「農協仕様」が存在します。ふつうの軽トラと何が違うのか? 買い方は。2強の構図をお伝えします。
働く軽トラの頂点に立つ「JA仕様」
軽トラックは、一部海外での新車販売があるが、基本は日本の自動車メーカーが日本で使う日本人のために設計した「純ジャパ車」である。
農業や林業の世界でとくにニーズが高いため、悪路走行を前提として設計されており、全幅1.48m未満の小さなボディは悪路も狭い道もすいすい走る。小さくても力持ちで最大積載量は350kgだ。
日本の風土や日本人の生活に深く関わって来た「軽トラ」が活躍する場は実に広い。
中でも、長年「軽トラ以外の選択肢はない」と言われているのが、農作業の現場である。
悪路で使用されることが多いため、ほとんどのメーカーで後輪駆動モデルと四輪駆動モデルが併売されており、5速MT車が主流。
4WDはヘビーデューティなシーンも余裕のパートタイム方式となる。
リアデフロック(またはリミテッド・スリップ・デフ)の設定がなされたグレードを用意する車種も多い。
小さくても非常にタフなクルマなのである。
農作業のパートナーとして絶大な支持を得る軽トラの中でも、とくに農作業に適した仕様を持つのがスバル・サンバーとスズキ・キャリイである。
サンバーはかつて「営農サンバー」という車種があったが、それが現在では「JAサンバー」に名前を変えて販売されている。
スズキ・キャリイにも「キャリイ農繁」「キャリイ農繁スペシャル」という特別仕様車がある。
いったいどんな仕様になっているのだろうか?
農家の要望を盛り込んだ最強の軽トラ
「JAサンバー」とは、「JA(農協)」仕様のサンバーを意味する。スバルと全農がコラボして作った軽トラで40年近い歴史がある。
JAサンバーが「営農サンバー」として誕生したのは1981(昭和56)年4月。
その前年、1980年にサンバートラックは軽トラック初の悪路走破性に優れた四輪駆動モデルを設定したことで、営農ユーザーの間で大評判となった。
特に、爆発的ヒットとなったのは長野県だ。
日常的に悪路や急勾配での走行を強いられることが多い長野県において農業従事者から圧倒的に高い評価を受けたのである。
軽トラ初の本格4WD採用は、JAサンバーが生まれたきっかけの1つにもなった。
では具体的にJAサンバーはどのような仕様になっているのか?
農家や農協の要望を聞いて、農作業での使いやすさを重視した仕様は独自の改良が施されている。
・4WDは悪路でより強いトルクを引き出すためのHi-Lo切り替え式。
・ぬかるみからの脱出を強力にサポートするデフロックも標準装備
・4枚リーフスプリングで足回り強化(通常3枚のところ、大量のコメ袋や発電機、動噴※など重量物積載時に車両が沈みこむのを抑えて走行安定性を確保)
・大型荷台作業灯
・格納式ゲートチェーン
・歩み板対応リアあおり
・T字フック
・可動式ストッパーなど
※動噴:農作物や果樹の消毒作業や各種の洗浄作業に使用される農業用高圧ポンプ
数ある軽トラックの中で、サンバーに初めてJA仕様が設定され、高い評価を受けて来た理由は何だろうか?