【シーンを問わないスーパーカー】フェラーリ456 英国版中古車ガイド V12+FR+4座
公開 : 2020.05.03 10:20 更新 : 2021.07.12 18:46
4シーターにV型12気筒を搭載したFRのフェラーリ456。実用性を高めたフェラーリですが、資金力が限定的なオーナーによって、良好な状態を保てずにいた例も多い様子。価格上昇前の今が買い時といえそうです。
ガレージに飾らず積極的に走りたい
良い評価を得られずにいた、V12を積んだフェラーリがある。2009年から2010年にかけて、英国では状態の良い456でも、4万ポンド(540万円)の値段が付いていた。状態の悪いクルマなら、2万5000ポンド(337万円)にまで下がることすらあった。
だが2014年以降は、値段は上昇傾向にある。近年では状態の良い456か456Mを、4万ポンド(540万円)で見つけることは難しい。
修理費を恐れ、眠れない夜を過ごしたくないなら、走行距離が浅く整備記録の整った456を選びたい。今なら5万8000ポンド(783万円)から6万5000ポンド(877万円)は用意する必要がある。
特に整備記録の内容は重要。フェラーリ456の履歴には、穴が空いていることが多い。底値の時に買ったオーナーが、少ない予算で維持していたからだ。フェラーリのオーナーになりたいという夢が、フェラーリの寿命を縮めてしまった。
フェラーリを買ったのなら、何よりも整備は欠かせない。9600km毎の定期点検と、38000km毎のタイミングベルト交換がされてきたのかは、確かめたいところ。
価格が上昇傾向に入ってからは、状態の良いクルマを見つけた多くの人が、コンディションを整えてきた。確かめたいポイントも少なくはないが、30年近く昔のフェラーリの割に、整備していれば456はタフで信頼性も高い。
当時のフェラーリの会長、ルカディ・モンテゼーモロは、積極的に乗って欲しいと考えていた。彼はガレージに飾るのではなく、信頼性と実用性を備えたスーパーカーを目指した。そうすることが、何よりの宣伝にもなるとも考えた。
新車当時は世界最速の4シーター
フェラーリ456GTが発売されたのは1992年。2003年までモデルチェンジを受けずに残っていた。1998年にフェイスリフトを受け、456Mへと改められている。
456GTでも456Mでも、フロントに搭載するエンジンは5.5Lの自然吸気V型12気筒エンジン。当初は6速MTを介して後輪を駆動していたが、1996年にはトルクコンバーター・タイプの4速ATが追加となっている。
MTは、1995年に1速が離れた位置にあるドッグレッグから、通常のHパターンへ変更されている。中古車の値段もMTの方が高い。ATは信頼性も高く、国をまたぐような長距離ドライブに適している。
456は遅いクルマではなかった。新車当時は世界最速の4シーターであり、最高速度は302km/hに届いている。実際は2+2レイアウトではあるが、リアシートにも大人が座れるだけの空間がちゃんとある。
セルフレベリング機能を備える可変サスペンションは標準装備。ノーマルモードはとても快適な乗り心地だが、中古車では動作の確認が不可欠だ。ブレーキにもリンクされており、不具合が起きるとサスペンションはハードに固定されてしまう。
フェイスリフト後の456Mは、若干静かになり、洗練性も増している。モデルライフは、456M GTスカリエッティ、別名シューマッハ・エディションで幕を閉じている。
最終モデルは高い。運が良ければ5万ポンド(675万円)で、状態の良い456GTか456Mを見つけられる。上昇傾向にある今、買うなら早い方が価格も安い。