【民主主義より専制主義?】元F1世界の独裁者 バーニー・エクレストンにインタビュー 前編

公開 : 2020.06.13 07:20

現代のF1を創り上げたとも言える独裁者、バーニー・エクレストンにインタビューしました。89歳になるというのにいまも驚くべき頭の回転の早さを見せるエクレストンですが、その真の姿に迫ることは出来たのでしょうか?

連絡先は入手済み 思わず冷や汗

バーナード・チャールズ・エクレストン。

英国サフォーク州のトロール漁船船長の息子であり、レーシングドライバー、カーディーラー、ドライバーのマネージャー、チームオーナー、そして現代F1を生み出した小柄なゴッドファーザー。

1970年代、エクレストンとモズレーは盟友関係にあった。
1970年代、エクレストンとモズレーは盟友関係にあった。

世界でもっとも政治的なスポーツの庇護者であり、ビジネスマン、そして億万長者でもある彼は、賞賛され、恐れられ、そして嫌悪されてもいる。

純粋なモータースポーツの支持者やドイツ検察には疎まれ、EUのタバコ広告規制を巡っては英国労働党への資金提供によってスキャンダルを巻き起こしている。

1963年に英国で起きた大列車強盗に彼が関わっていたという噂を信じるのであれば、エクレストンは法も犯していると言うことになるが、今回のインタビューで彼は列車に積まれていた現金は罪を犯すには少なすぎたと話している。

彼の連絡先を入手してもう1年以上が経つと言うのに、いまだにその番号を呼び出す勇気を持てないでいた。

単に連絡先を入手するのと、実際にインタビューを申し込むのとでは天と地ほどの違いがある。

彼に連絡するなど、女性をデートに誘ったり、その父親に結婚の許しを請う方がはるかにマシだ。

恐怖で手は汗ばみ、額からは冷や汗が噴き出してくる。

「エクレストンさん」 いまも才気煥発

それでも勇気を出して連絡するしかない。

「もしもし」

90歳に手が届こうというエクレストンだが、いまも元気一杯だ。
90歳に手が届こうというエクレストンだが、いまも元気一杯だ。

聞き間違えようのない声だが、電話の相手は決して油断などしていない。

「エクレストンさんでしょうか?」

30年間F1を見続けており、その間つねに彼は「バーニー」だったが、こう呼びかける以外に言葉が思い浮かばなかった。

「どなたでしょう?」

丁寧だが毅然とした答え。

「AUTOCARのジム・ホールダーと申します。われわれの雑誌をご存知だと良いのですが、インタビューをお願い出来ないかと思いお電話させて頂きました」

「わたしほどの年齢の雑誌ですね?」

彼は89歳だが、いまも才気煥発だ。

実際にはAUTOCARは125年の歴史を誇るが、もしかしたらわたしが本物かどうか、彼が試しているのではないかと思った。

「あなたの公表されている年齢が事実なら、われわれの方が年寄りです」

なぜ軽口など叩いているのだ。

「確かにそうですね。問題ありません。後日こちらからかけ直します」

少し笑ってくれたようで安心した。

それで電話は切れた。おそらくAUTOCARの歴史をネットで調べるためだろう。

エクレストンから電話は掛かってこなかったが、われわれには彼にコンタクトする理由が出来た。

彼はつねに丁寧で、時には申し訳なさそうな様子さえ見せるが忙しいのだ。

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