【離島の軽トラ謎だらけ】ナンバープレート無しが普通? 運輸支局/警察の考えは? 目をそらせぬ「実情」も

公開 : 2020.09.05 05:50  更新 : 2022.03.25 18:51

離島を訪れると、ナンバープレートのついていない軽トラックが少なからず走っています。離島ならではの事情があるようです。運輸支局/警察、公的団体に考えを聞きましたが、解決策は見えていません。

西日本のとある離島で見た衝撃の光景

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

西日本のとある離島を訪れた友人から不思議な写真を添付したメールが届いた。

そこは瀬戸内海にある人口100名程度の島で、本土から船で30分の場所にある。

ナンバーをつけずに走る離島の軽トラック。
ナンバーをつけずに走る離島の軽トラック。    加藤博人

友人は降り立ってすぐ、衝撃の光景を目にした。

船の到着とともに、5〜6台の軽トラックが視界に入って来た。船着き場に釣り客を迎えに来たり、本土からの物資をおろして島内に運んだりするための軽トラだろう。

形は普通の軽トラだ。しかし何か違和感がある……。

そこに止まっている軽トラにはすべてナンバーがついてない!

その話を聞いて筆者も思い出した。6〜7年前に別の離島を訪れた際にも島にあるクルマにはほぼ、ナンバーがなかった。

離島ではこれが普通なのだろうか? 離島の道路は公道とはみなされないのか?

クルマを使うのは島の中だけという限定された環境では走る範囲も用途も限られるだろう。もちろん、バスもタクシーもない、また駐在所などもない小さな島である。

ナンバーのないクルマはほとんどが軽トラックである。それもかなり古い。海に囲まれた離島という環境もあるのだろう。サビだらけの軽トラも多い。

しかし、中には、車検ステッカーを貼った車もある。当然車検は切れているが平成29年の文字が見える。

中古車で買って島に運んで来たのだろうか? 買った時点ではナンバーはついていたのだろうか?

ナンバーなし 運輸支局に聞いてみた

車検切れのクルマやナンバープレートを外した状態で公道を走らせることは道路運送車両法違反(無車検走行)に抵触する。

2019年9月、滋賀県の公園内で公的機関が所有するナンバーのない軽トラックが園内の整備に使われていたことが問題となった。

離島であっても公道を走るならナンバーは必要。ただし管轄警察も「島の中で取締りを行うことは難しいでしょう」という。
離島であっても公道を走るならナンバーは必要。ただし管轄警察も「島の中で取締りを行うことは難しいでしょう」という。    加藤博人

約5~6年前に廃車として処分したあと園内限定で時々使っていたとのことだ。

離島の場合はどうなるのか? 管轄する運輸支局にナンバー無しの車について聞いてみた。

「原則として自動車は、私有地以外の公道では登録(軽自動車の場合は『届出』)をしてナンバーを付けて、継続車検を受けて自賠責保険を付けて乗るものです」

「離島の道路も基本は公道とみなされますから、本来はナンバーのない状態で走ることは違法です。詳しくは警察さんに聞いてみてください」

と言われ、管轄する警察署の交通課に聞いてみた。

「限定された私有地であればナンバーがないクルマでも問題はありませんが、離島であっても公道を走るならナンバーは必要です」

「ただ、現実的にそのようなクルマがあっても、島の中で取締りを行うことは難しいでしょう。そもそも、パトカーも島に入れないわけですし」

「パトカーがないと取締りができないわけではありませんが、現状、その島への巡回は年に数回です」

「警察官が常駐しているわけではないですから。通報があれば任意で捜査を行うこともありますが……」

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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