大規模リコールのスズキ 5月の販売に影響は? 「2019年5月に売れた日本車」
2019.06.13
日本車の販売台数クイズです。検査不正問題やリコールなど、悪いニュースが続いたスズキ。5月の新車販売に影響は? 販売台数ランキングとあわせてレポート。
Q:4月に検査不正問題に伴う大規模なリコールを発表したスズキ。5月の新車販売成績への影響は?
A:5月に関しては限定的。
登録車は速報値で前年同月比4.1%減(9874台)と-5%未満に収まり、一方の軽自動車は同1.5%増(4万4454台)とプラスを成し遂げた。好セールスを続ける新型車の販売成績が、リコールの悪評を上回ったのかもしれない。
5月の新車販売 2カ月連続のプラス
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がまとめた2019年5月の全体での国内新車販売台数(速報値)は、前年同月比6.5%増の39万6120台と2カ月連続で前年実績を上回った。カテゴリー別では、
・登録車:同4.8%増の24万7338台(2カ月連続のプラス)
・軽自動車:同9.5%増の14万8782台(2カ月連続のプラス)
と共に前年超えとなった。
5月の登録車のブランド別新車販売台数では、トヨタ自動車が前年同月比13.8%増(11万7892台)、ホンダが同11.9%増(2万8905台)、スバルが同9.1%増(7129台)、三菱自動車が同21.8%増(3624台)とプラスを達成。対して、日産自動車が同14.6%減(2万5400台)、マツダが同14.4%減(1万1038台)、スズキが同4.1%減(9874台)、レクサスが同0.8%減(4085台)、ダイハツが同9.8%減(2138台)とマイナスに落ち込んだ。
一方で軽自動車の5月のブランド別新車販売台数は、ダイハツが前年同月比8.8%増(4万6044台)を成し遂げて2カ月連続でシェアトップにつく。ライバルのスズキは同1.5%増(4万4454台)のプラスを記録したものの、前月と同様に第2位に位置。また、N-BOXやN-VANの販売が堅調なホンダは同19.1%増(3万748台)、デイズを新型に切り替えた日産自動車は同26.3%増(1万4974台)、eKシリーズを新型に切り替えた三菱自動車は同22.6%増(4323台)と前年超えを成し遂げた。
5月の市場動向について業界団体の関係者は、「5月は前月と同様に新型車や特別仕様車の受注が好調で、登録車と軽自動車ともにプラスを達成した。ただし、5月24日発売のマツダ3を除いて目立った新型車のリリースがなかったマツダは登録車と軽自動車ともにマイナス、ブランドイメージの悪化が続いていることに加え、ルノー・FCAの経営統合の破談などに揺れる日産は登録車でマイナスとなる。一方でスバルは、経営体制の見直し策やフォレスターをはじめとする新型車の発売といった活動が実を結び、登録車が2カ月連続での前年超えとなった」と分析。
「また、4月に検査不正問題に伴う大規模なリコールを発表したスズキは、登録車が5%未満のマイナスにとどまり、一方の軽自動車は1.5%のプラスを達成。好セールスを続ける新型車の販売成績がリコールの悪評を上回ったようで、現時点ではリコール問題の販売に対する影響は限定的といえる」と解説する。
今後の見通しについては、「受注状況としては新型車を中心に堅調で、また6〜7月のボーナス商戦にかけて販売を伸ばしそうな新型車や特別仕様車が鋭意登場する見込みなので、これらがどれくらいセールスを伸ばすかがプラスをキープするためのポイントになる。一方、ブランドイメージの悪化が長引く日産、大規模なリコールを発表したスズキの今後の動向は気になるところ。また、市場全体で見ると、10月に実施予定の消費税アップに伴う影響、すなわち駆け込み需要とその反動減はどれほどあるのか、そして政府が自動車に関わる税制に対してどのような対策を打ち出してくるのかなど、油断できない状況が続きそうだ。悪い数字が表れ始めた最近の景況感、さらに米中貿易摩擦の深刻化などによって市場の消費意欲がどうなるかも不安材料」と示唆した。