ジャガー・ランドローバー幹部に訊く Iペイスの評価、次期XJのEV化、新型イヴォークの意味

2019.07.27

ジャガーランドローバーの未来

――JLRを含めたイギリス車は、日本のエンスージァストにとっては良くも悪くも伝統的であるところが最大の価値と捉えられてきたフシがありますが、今はちがうのですね。

「JLRは徹底的にポジティブで、きわめて卓越して豊かなグローバルブランドですが、万人受けをねらってはいません。ユーザー層をこちらからあえて限定して “本当に好きな人” に選んでいただいています」

「イギリスはもちろん長い伝統を引き継いでいますが、音楽やファッションといった芸術的な分野では、対照的に非常にクリエーティブでイノベーティブです。過去にはそういう先進性が失われかけた時代もありましたが、ジャガーは四輪独立サスペンションやアルミボディをいち早く取り入れましたし、今をときめくラグジュアリーSUVを1970年代に初めて実現したのはランドローバー(=初代レンジローバー)でした」

「伝統を大切にしつつも、常に未来を見据えて、斬新である……ことがJLRのブランド価値であり、それはまさにイギリスらしい価値でもあります。それを象徴するのが最新のIペイスであり、次期XJなのだと思います。そして、新型イヴォークではSUVであのようなMHEVを初めて実現しましたし、さらに今後はPHEVも準備しております」

「われわれにとっての電動化は、周囲の環境に強いられたものではありません。今後10年間は、過去100年分よりも大きな変化をクルマにもたらすと思われます。われわれは電動を大切にしながらも、世界最先端のイノベーションを果たしていけると確信しています」

――そういうJLRのイノベーションは日本市場でも受け入れられると思いますか?

「日本のお客様はクルマに対する要求水準が非常に高いです。それはとても素晴らしいことで、そんな日本で受け入れられるべく努力することが、結果的によりよいクルマをつくることに繋がっています。日本のお客様に “JLRこそが最高のクルマ” と理解していただくことは壮大なチャレンジなんです」

「また、日本のお客様はクルマにかぎらず、イイモノや美しいモノに対するアンテナが鋭敏です。ですから、ジャガーでいう “THE ART OF PERFORMANCE(=感性に訴える性能)” にきちんと価値を認めていただいていますし、ランドローバーの “ABOVE and BEYOND(=さらなる高みへ)” と表現すべきイノベーションの追求というブランド価値を理解いただいているのです。これからのJLRも、ぜひ楽しみにしていてください」

記事に関わった人々

  • 佐野弘宗

    Hiromune Sano

    1968年生まれ。大学卒業後、ネコ・パブリッシング入社。カー・マガジン等で編集作業に携わるうちに3年遅れで入社してきた後藤比東至と運命的な出逢いを果たす。97年、2人でモンキープロダクションを設立するべく独立。現在はモータージャーナリストとして「週刊プレイボーイ」「AUTOCAR JAPAN」「○○のすべてシリーズ」他、多数の雑誌、ウェブ等で活躍中。

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