自動車メーカー同士のコラボ　成功例、失敗例、醜い例　前編

公開 : 2018.05.05 06:10

開発コスト削減のため、複数のメーカーが協力して1台のクルマを開発することは現代では珍しくありません。しかし、それには成功例、失敗例さまざまあります。ここではそのいくつかの例を紹介します。この前編に登場するのはすべて成功例となっています。

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成功例　ACとシェルビー　ACエースというのは2.2ℓあるいは2.6ℓの直列6気筒エンジンを積んだ、まずまずの性能を発揮していた紳士向けスポーツカー。そこにキャロル・シェルビーが手を加え、4.2ℓ（260ci）のフォード製V8を載せ、のちに4.7ℓ（289ci）のユニットに変更してコブラが生まれた。その後7ℓ（427ci）のV8がエンジンベイに押し込まれ、クルマは完全に獰猛な野獣と化した。

成功例　アルピーヌとルノー　今でこそアルピーヌはルノーの一部門に過ぎないが、1955年にジャン・レデレがルノーの駆動装置を搭載したスポーツカー製造のために会社を設立した当初は完全に独立した企業だった。彼はルノーと協力してオリジナルのA110（写真）を含む名車を次々と生産した。1970年代初頭にA310の開発によってレデレの会社は破産しかかったが、ルノーが株式の70%を買収したことで危機を免れることができた。その後作り出されたクルマは依然として素晴らしいものだった。

成功例　アストンマーティンとザガート　2社のコラボは現在も続いている。近年は、ヴァンキッシュ（写真）、V12ヴァンテージ、そしてDB9といったテーマが異なるザガートのシリーズものが相次いで発表されてきた。その前にはアストンマーティンDB7とV8ヴァンテージが作られたが、両社のコラボが始まったのは1960年のDB4 GTからだ。この最初のコラボモデルはたったの19台しか製作されなかったので、今や超稀少なコレクターズ・アイテムとなっている。

成功例　アウディとポルシェ　生産期間わずか1年ほどのRS2アバントは、アウディのRSシリーズ最初となる気合の入ったモデルだった。2.2ℓ直列5気筒エンジンにターボチャージャーを付けたことで最高出力315ps、最高時速257km/hを発揮した。生産された約3000台のRS2は、6速マニュアル・ギアボックスと四輪駆動システムのクワトロを装備していた。

成功例　BMCとクーパー　アレック・イシゴニスがミニの設計をしたとき、彼は経済的なクルマを作りだすことを第一に考えていて、スポーツっぽさは追求していなかった。その後ジョン・クーパーがBMCに協力しないかと持ちかけ、当初イシゴニスはあまり乗り気ではなかったものの、1961年にはミニ・クーパーが、その2年後にはクーパーSが誕生した。クルマは、ショールームだけでなく、ラリーやサーキットのレースで大成功を収めた。

成功例　BMWとアルピナ　アルピナは完成度の高いBMWをさらにチューンするチューニング・メーカーだったが、1983年からは自動車メーカーとしても認識されるようになった。アルピナは、1962年にブルカルト・ボーフェンジーペンがBMW 1500用にウェーバー製燃料システムを改良し、その性能が工場に評価されたことから始まった。彼がチューニングしたクルマにはBMWの車両保証が与えられることになり、両社の関係は次第に深まっていった。写真はBMWアルピナ3.0 CSℓ（1974年）。

成功例　ブリティッシュ・レイランドとホンダ　停滞していたブリティッシュ・レイランド／オースチン・ローバーはホンダとタッグを組むことで再生を果たせるかに見えたが、パートナーシップはただの時間稼ぎにしかならなかった。そうは言っても最初のうちはうまくいっていて、まずはアクレイムの名前でホンダ・バラードが投入された。これはトライアンフのブランド名で生産された最後のモデルとなった。その後は200、400、600、そして800のシリーズが設けられたが、親会社がころころ変わって最終的にはすべて消滅してしまった。

成功例　シトロエンとプジョーとトヨタ　全くの新しいクルマを開発するには莫大な費用が掛かり、クルマが小さければ小さいほど利益もわずかになってしまう。そのため、21世紀の初めにPSAとトヨタが新しい小型車を作るべく協力したのは理にかなっている。共同開発の結果誕生したのがシトロエンC1（写真）、プジョー107、そしてトヨタ・アイゴというお手頃価格の小型車たちで、10年間近く存続した。

成功例　フィアットとマツダ　新モデルの開発コストを折半するため、自動車メーカー同士のコラボはますます盛んになっている。そんな中で最近もフィアットとマツダが業務提携し、それぞれ124スパイダー（写真）とMX-5（和名ロードスター）を生産している。勢いのあるモデルをラインナップに加えたいフィアットにしたら賢明な策だったが、124スパイダーはMX-5の恩恵を受けているに過ぎず、高く評価されるのはいつもMX-5の方だ。

成功例　フォードとコスワース　フォードがコスワース・レーシングを買収したのは1998年のことだが、両社の関係は1960年代初め頃から始まっていた。当時コスワースはコーティナGT用にカムシャフトとマニフォールドの設計を手掛けていた。1965年、フォードがコスワースに新たなF1エンジンの製作を依頼して登場したのが1967年のV8DFVだ。このエンジンはF1史上もっとも成功した名機と言われている。1986年になるとロードカー・ファンのために投入されたシエラ・コスワース（写真）が各レースを賑わせ、1992年以降はエスコートがその後を継いだ。

成功例　フォードとロータス　1960年代のイギリスでジョイントベンチャーとして注目を集めていたフォードとロータスのコラボにより、ロータス・コーティナが登場した。この2ドアセダンが搭載していたのはツインカム1558cc4気筒エンジンで、出力107psながら軽量のコーティナを大物食いへと変身させた。ロータス・コーティナの大ヒットにより、コーティナ・ロータスと呼ばれるMk2が第2世代目としてあとに続いた。

成功例　フォードとシェルビー　1960年代にキャロル・シェルビーが設計したモデルはどれもとにかくよく売れた。例えばACコブラ、サンビーム・タイガー、そして310psの4.7ℓV8を積んだこのマスタングGT350（1966年モデル以降はシェルビーGT350）など。のちに7.0ℓV8のGT500も登場したが、1969年にはマスタングの開発が中止となった。しかし、フォードは2005年にシェルビー・マスタングを復活させ、2018年現在も購入可能だ。

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