コッパディ小海　稀有なスポーツカーが集まる伝統のイベント

公開 : 2019.05.08 10:40

日本のヒストリックカー・ラリーの始祖として1991年に始まったコッパディ小海。愛好家に支持され続けて29回目を迎えました。往年のイタリアのレーシングカーを始めとする趣味車たちが集まり、小海の山々に軽快な排気を響かせました。

イベント

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コッパディ小海は1940年代から1950年代のバルケッタを始めとする稀有なスポーツカーたちが集まるイベントとして支持されている。

コッパディ小海の参加者は熱心な愛好家が多く、深い知識と長い経験の持ち主ばかりだ。そして何より見識があり、センスが良い。

今年も各時代を代表する各国のスポーツカーやGT、ツーリングカーが小海に集まった

小海といえばバルケッタ。今年も先鋭的な往時のレーシングカーたちが集まった。

レーシングカーでありながら愛嬌のあるザガート・パノラミカに乗る愛くるしい少女たち。

始原のブガッティのレーシングカーであるT13ブレシアの後ろ姿には、男の浪漫が漂っている。

参加者を迎えてくれる小海の美女たち。

ドン小西さんも応援に駆けつけてくれた。

主催者たちと信州の歌姫・汐入規予さんと記念撮影。

毎回、小海に集まる参加車両のラインナップは素晴らしい。

コッパディ小海の2日間は60年前のイタリアを彷彿とさせる空間となる。

端正なスプリジェットも小海でこそ、さらに輝く。

モントリオールとカウンタック、カロッツェリア・ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニがデザインした2台が並んだ。

1922年ブガッティ T13 ブレシア／1899年に18歳にして最初のクルマを作り上げたエットーレ・ブガッティが1909年にモールスハイムに、その後永らく本拠地となる工場を構えて最初に生み出したのがT13で、この車こそが始原のブガッティであり、最も純粋なブガッティだ。

1924年ブガッティ T13 ブレシア／エットーレは1914年に開発した新型16バルブ・エンジンを、第1次世界大戦による中断の後にT13へ搭載した。1920年のル・マンのヴォワチュレット・レースでデビューし、1921年のブレシアのレースで優勝してからブレシアと呼ばれるようになった。

1962年 CD パナール LM 1962／DBパナールとしてのル・マンへの挑戦は1961年で終焉となり、袂を分かったDたるシャルル・ドゥーシェとBたるルネ・ボネはそれぞれ独自のル・マン挑戦を始める。このCDはドゥーシェによって1962年のル・マン・テストデイで、ユノディエールでのクラス最高速を記録するために開発された。

1954年DB パナール HAR／技術者シャルル・ドゥーシェと勇敢なレーサーでもあったルネ・ボネが開発したDBは1949年の戦後最初のル・マンから挑戦し、主に745cc空冷2気筒のちっぽけなエンジンで何度もクラス優勝や性能賞を獲得した。

1948年チシタリア 204／チシタリアにポルシェの技術を導入したカルロ・アバルトが開発した204は最後のチシタリアのマシンとなった。しかしカルロが引き継いでスクアドラ・アバルトを設立し、アバルト最初のマシンとなる204Aとなり多くの栄冠をもたらした。

1959年シアタ 750 S MM／シアタはトリノで戦前から飛行機の部品やフィアットのエンジンのチューニングで名を挙げた。これは独自に開発した4気筒エンジンを持ち、ミッレ・ミリアに3回挑戦した。

1953年スタングェリーニ 750S MM／スタングェリーニはモデナにあって、トリノでフィアットが1899年に創業して以来の老舗ディーラー。フィアットをベースにしたレーシングカーを製作して、ミッレ・ミリアなど国内のレースに参加したばかりか、ル・マン24時間レースにも遠征した。

1941年フィアット 500A テスタ・マリーノ／トポリーノをベースにしたレーシングカーはイタリア各地の町工場で作られた。若き日のビッザリーニも、若き日のランボルギーニも、トポリーノをベースにレーシングカーを製作した。これはマリーノがチューニングしたヘッドを持つシルッロ（魚雷型ボディ）。

1947年フィアット 500B パノラミカ・ザガート／飛行機のボディ製造からスタートしたカロッツェリア・ザガートが、自動車のために製作したボディは軽くて空力的に優れていた。これは第2次世界大戦後最初のザガート特有のスタイルでパノラミカと呼ばれ、ヘリコプターのようなキャノピーを持つ。

1958年フィアット・アバルト 750GT ザガート／チシタリアからスタートしたアバルトは、主にフィアットをベースに独自のスポーツカーを開発した。フィアット1100の改造からスタートして、1955年に先進的な小型車フィアット600が登場すると、それをベースに様々なアバルトが開発された。

1958年フィアット・アバルト 750GT ザガート／この750GTもリヤエンジンの600のシャーシーを使用しながら、４気筒OHVのエンジンをチューニングして、排気量も633ccから747ccに拡大され出力も増した。

1958年フィアット・アバルト 750GT ザガート／750GTはアバルトにとって最初のザガートによるボディとなった。軽量で空力的なボディはその独特なルーフの形状からダブルバブルの愛称で呼ばれたが、リヤのエンジンフードまでそのモチーフが繰り返された。

1958年フィアット・アバルト 750GT ザガート／750GTは1957年のミッレ・ミリアでクラス優勝を遂げたが、その活躍はイタリアのみならず世界中に広がり、アメリカではルーズベルト大統領の息子が率いるチーム・ルーズベルトがそのレース活動を担った。

1959年フィアット・アバルト 750GT ザガート／ザガートのデザインは小さなアバルトでこそ、個性を発揮した。1956年からレースに参加しながら開発が進み、1957年に最終的にダブルバブルとなったデザインが決定して生産が開始された。

1959年フィアット・アバルト 750レコルト・モンツァ・ザガート／ダブルバブルに代わる、ザガートの生産型ベルリネッタ・ボディの2世代目はレコルト・モンツァと呼ばれ、その名はモンツァでのスピード記録に由来する。より機能的なボディラインは大きな評価を受け、イタリアのデザイン大賞である『黄金のコンパス賞』が授与された。

1963 フィアット・アバルト・モノミッレ／フィアット600のシャーシーにラジエターをノーズに移して、新しいモノミッレ（1000という意味）のスタイルが完成した。アルミボディはアバルトの工場に近隣するシボーナ＆バサーノで製作された。600のブロックを使用したが、ボア65mm、ストローク74mmの982ccに拡大された。

1972年アルピーヌ・ルノー A110 1600SC／ルノー4CVの改造から始まった最初のアルピーヌのボディはイタリアのカロッツェリアで作られ、ミッレ・ミリアでも活躍した。ミケロッティのデザインを発展させたFRPボディをバックボーンシャーシーに被せたA110は、ゴルディーニがチューンしたルノー・エンジンをリヤにマウントし、ラリーで活躍した。

1966年フィアット・アバルト OT1300／OT1300のシャーシーは最初はフィアット850をベースにした。量産車をベースにして本物のレーシングカーを創り上げるのがアバルトの真骨頂だった。独自に開発した高圧縮のショート・ストロークのエンジンは147馬力（後期は157馬力）を発揮し、1966年から3年間に渡り、FIAの1300ccまでのクラスでワールド・チャンピオンを獲得した。

1965年マートラ・ボネ・ジェット5／DBのBたるルネ・ボネは、パナール・エンジンと決別し、ルノーR8のエンジンをミッドシップに搭載したルネ・ボネ・ジェットを開発したが、まもなくマトラに吸収された。その後、マトラはF1で世界チャンピオンを獲得し、ル・マン24時間でも1950年以来久方ぶりの優勝を1972年に遂げ、それから1974年まで3連勝を獲得。

1966年シムカ 1000 クーペ／1934年からパリ郊外でフィアットのライセンス生産をしてきたシムカは、戦後になると独自のモデルの開発を始め、1961年に出した1000はルノーR8に先駆する凸シルエットの画期的なセダンだった。その開発に手を貸したのは実はフィアットだったが。そのバリエーションがカロッツェリア・ベルトーネによるデザインの1000クーペ。同じくベルトーネによるNSUスポーツ・プリンツやフィアット850クーペやASA1000にも似るが、より凝ったディテールを持つ。

1965年フィアット 1500 O.S.C.A／戦前のバリッラから連綿と続く1100はボアアップして1200となり、オープンのスポーツタイプも用意された。最初はフィアット社内デザインだったが、1959年にピニンファリーナによるカブリオレに代えられ、同時にマセラティ兄弟（O.S.C.A）の設計による、鋳鉄ブロックにアルミヘッド、チェーン駆動のDOHC、1491cc90馬力のエンジンを搭載した1500が登場した。参加車にはオプションのハードトップが付く。

1966年フィアット・アバルト850TC コルサ／フィアット600をベースにしたアバルトはツーリングカー・レースでも活躍した。そのクラスでは敵無しで夥しい数のクラス優勝を獲得するにとどまらず、さらに大きな排気量のライバルまで打ち負かした。TCとはツーリズモ・コンペティツイオーネの略、コルサとはレース仕様の意味。

1966年フィアット 850 モディフィカ／コッパディ小海のヒルクライムにおけるクラス最高速を記録するためだけの目的で、ミタンゲリーニによって開発されたフィアット850モディフィカ。

1960年アルファ・ロメオ・ジュリエッタ1300 スパイダー／1955年にピニンファリーナのボディを纏って登場。これは磨き上げられた黒い塗装もシックで、細部まで愛情による手入れが行き届いた美しいコンディションだった。

1967年アルファ・ロメオ・ジュリア GTV／1954年に発表された1290cc4気筒DOHCエンジンを搭載したジュリエッタ・スプリントは、1962年に1570ccの新型エンジンを搭載するジュリアT.I.というセダンの登場に合わせて、同じエンジンを搭載するジュリア・スプリントとなり、翌1963年はボディも一新して世代交代した。ベルトーネによる2ドア・クーペの造形は60年代を代表する傑作だ。様々なバリエーションが登場し、GTVのVはヴェローチェ＝速い、という意味。

1969年アルファ・ロメオ・ジュリア T.I. スーパー／ジュリアのセダンはスプリントより1年早く発表された。この頃、相次いで発表されたシムカ1000、ルノーR8などに通じる3ボックス凸型で、これが60年代的なスタイル。当時の高性能セダンが形容された『羊の皮を被った狼』というフレーズを超えて、やる気満々の雰囲気に仕立てられている。

1972年アルファ・ロメオ 2000 ベルリーナ／1967年にジュリアの上級セダンとして1750ベルリーナが発表された。戦前のアルファ・ロメオの名声を高めたモデル名の復活だった。1970年にさらに排気量がアップされて2000となる。1958年に発表された初代2000ベルリーナのエンジンは1900の発展型だったが、こちらの2代目はジュリア系エンジンの発展型。

1954年ポルシェ 356 スピードスター／ベンツ、アウトウニオンなどの設計、開発に携わってきたポルシェは、戦後になって初めて自らの名前を名乗るスポーツカーを生み出した。スピードスターは、レース参加も想定されたモデルで、軽量化されより低重心となり、ギヤ比も変えられて加速性能も向上した。

1963年ポルシェ 356C カブリオレ／356はグミュントで初期タイプが55台製作された後、1950年からシュツットガルトで量産が始まった。今はPre-Aと呼ばれるA以前のモデルから始まり、A、B、と続き、C／SCが最終進化型で1965年まで生産された。カブリオレは3層構造の耐候性に優れた幌を持つ。

1958年ポルシェ 356A／1956年から1959年までの生産型がAで、外観ではV型のフロントウィンドウが初めてカーブドグラスになり、テールライトも丸灯から横長の形態のものに変更された。内部では、足回りやエンジンに実質的な改良がなされ、性能は向上した。この当時からの登録ナンバーを維持するこの356Aは、1963年の第1回日本グランプリ出場車である。

1966年ポルシェ 911／1963年に901として発表され、1964年から911という正式名で生産が開始された。ポルシェ家3代目のアレクサンダー・ポルシェのデザインになると言われ、同じく一族のフェルディナンド・ピエヒがエンジン開発に携わった。最初から完璧なデザインであることは、50年以上経った現在でも、この原初の911が基本となっていることから証左される。

1969年ポルシェ 912／新型6気筒OHCエンジンが完成した後も、356の４気筒OHVエンジンを搭載した912というモデルが用意されて、1965年から1969年までに3万台あまりが生産された。テールヘビーという構造上の問題を抱えていた初期の911と比べて、リヤオーバーハングの荷重も軽く、むしろハンドリングは優れていた。

1971年ポルシェ 914/6／356最初のプロトタイプもレース用に開発されたポルシェもミッドシップであり、ポルシェはミッドシップの有効性は夙に熟知していた。その素性の良さは、1970年のル・マンで、911S 2.2Lより上位の総合6位（それより上位の1位から5位まではポルシェ917、917、908とフェラーリ512Sという純レーシングカーばかり）を獲得したことからも理解される。914はVW用4気筒、914/6は911Tと共通の6気筒エンジンを搭載した。

1953年 MG TF／1924年にモーリス・ガレージとして始まったMGは、1929年にアビンドンに移転して独自のスポーツカーの開発を始めレースでも活躍した。戦前のTA、TBを踏襲したTCが戦後すぐの1945年から生産が始まり、多くがアメリカに輸出されて彼らにスポーツカーの存在を知らしめた。この時代の英国車はほとんどがアメリカに輸出されたのでTD、TFは左ハンドル仕様が多い。TFはTシリーズの最終モデル。

1955年MG A／Tシリーズに代わるMGの新型は、ル・マン24時間レースにおいて開発された。MGは、1949年からル・マン24時間レースにTCの改造車で挑んでいたG.フィリップスに、1951年にはMGのシドニー・エネヴァーによるル・マン用空力ボディを被せたTDを提供した。そのスタイルが基になり、1955年にはMGのワークスカーとして3台のアルミボディのMG Aプロトタイプが出走し、ケン・マイルズの乗る41番が1489ccながら、2Lのトライアンフ・ワークスカーの2台より上位となる12位を獲得した。

1971年MG B／「SAFTY FIRST」の標語はまさしくMGの性格を表している。控えめで端正で均整がとれたスタイルは、良き英国趣味を体現している。1962年に発表されたMG Bはモノコックボディとなったが、足回りはMG Aを踏襲、エンジンもオースチンBタイプOHVを引き継いだが、1489ccから1798ccにアップし、1967年モデルからは3ベアリングから5ベアリングに改良された。これは、1967年から1971年まで生産されたMk-IIで、アイアンバンパーの最終型。

1961年MG ミジェット Mk-I／MGミジェットは、ヒーリー・スプライトの双子の兄弟車として、スプライトがMk-IIにマイナーチェンジした時に発表された。1928年に登場したMG最初の847ccの小型スポーツカーの名前がスプライトで、その名とともにスピリットを復活させた。

1969年MG ミジェット Mk-III／MGミジェットは1966年からミニクーパーSと同じ1275ccとなったが、出力は及ばず65馬力だった。幌が脱着式から折畳式になったのが外観上の違い。

1958年オースチン・ヒーレー・スプライト Mk-I／ドナルド・ヒーレーが設計し、オースチンが生産するスポーツカーの第1作目は、ビッグ・ヒーリーと呼ばれることになる4気筒の100と、それに続く6気筒の3000だった。2作目がこのスプライトで、オースチンA型948ccのエンジンを搭載した。

1967年ジャガー Eタイプ 4.2／XK120からXK150までのジャガーとは隔絶した新しいジャガーであることを示すために、ル・マンで5勝を遂げたC、Dの後を継ぐ、XK-Eの名前が与えられたが、構造的にも、マルコム・セイヤーによる空力的スタイルもDタイプの延長線上にある。1961年に発表されると、創始者ウィリアム・ライオンズの目論見通り、世界的な評判を呼んだ。1966年にDOHC6気筒のエンジンは3781ccから4235ccに排気量を増してトルクを増強、ミッションやブレーキ・システムも改良されて、より好ましいスペックになった。

1964年ロータス・エラン S-2／1947年にオースチン7の改造からスタートしたロータスは、それから10年後にはロンドン自動車ショーでブースを構えて、スポーツカーの真髄を体現するロータス7と、意欲的なエリートを発表して、アプレゲールの騎手としてその存在が世界的に知られた。空前絶後のFRPモノコックを持つエリートはレースでは大きなポテンシャルを発揮したが、商業的には失敗に終わり、その反省から開発された新型が1962年発表のエランである。

1972年ロータス・エラン S-4 スプリント／エランは、コリン・チャプマンらしい発想の強靭で軽量なX型バックボーン・フレームにフォード116Eをベースにハリー・マンディが開発したDOHCヘッドを載せて1558ccで105馬力を発揮した。シリーズ2、3と改良が進み、最終のS4スプリントではトニー・ラッドによるビッグ・バルブ126馬力のエンジンが搭載されて、駆動系が強化された。

1972年メルセデス・ベンツ 280SL／SLとはSport Leichtの略でライトウェイト・スポーツカーの意味だったが、1963年にデビューした230SL以降のLの意味はラグジュアリーとしか受け取れない。300SLはまだしもスポーツカーだったが、280SLは、豪華で安楽で、しかも速い、というその後のメルセデス・ベンツの方向性が確立したモデルだった。重厚であるばかりか、どこかしらエレガンスを感じさせるデザインは、フランス人ポール・ブラックの功績だ。

1972年アルファ・ロメオ・モントリオール／モントリオールは1967年のモントリオール万博で発表されたゆえに、その名がつけられた。ジュリア系のシャーシーにレーシングスポーツのティーポ33/2譲りのV8エンジンをフロントに搭載。ベルトーネのガンディーニによるデザインは、ミウラで使った意匠の別の表現方法での再現のようだ。

1983年ルノー 5 ターボI／コッパディ小海が開始されてから30年になろうとしている。この先には、80年代に生まれたヤングタイマーのクラスもできるかもしれない。もともと優れたデザインである大衆車ルノー5をベースに、FWDからミッドシップに変換してWRC（世界ラリー選手権）のグループ4ホモロゲーションのために開発されホッテスト・ハッチバック。その企画力が素晴らしく、デザインに敏感な人たちのハートを掴んだ。

1985年ランボルギーニ・カウンタック5000クワトロ・バルボーレ／カウンタック（現地の発音ではクーンタッチ）とは、ピエモンテ地方で驚きを表す言葉だ。トリノのカロッツェリア・ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニによって造形されたスタイルはスーパーカーの代名詞となった。イタリアの真髄と言えるクルマばかりが集まった小海の会場で見ると、やはりその血脈の中にちゃんと位置する車だと、改めて感じられた。

1969年スバル360 ヤングSS／戦闘機『隼』や『疾風』を開発した中島飛行機の流れを引くのが富士重工業のスバルだ。戦時中の航空技師たちが戦後には自動車会社に転職したことが、日本の自動車の発展に寄与した。1958年に登場したスバル360も飛行機の技術が生かされ、空気抵抗が少ない形態はモノコック構造で軽量だった。1969年に登場したヤングSSは空冷2ストローク2気筒356ccで、ツインキャブとアルミ・シリンダーが装着されて36馬力を発揮した高性能バージョン。

1955年イソ・イセッタ／電気冷蔵庫などを生産していたイソがスクーターやオートバイの次に4輪車への進出を企てて、エルメネジルド・プレーティが開発したのがイセッタ。最もミニマムな車の誕生だった。すでにスクーターで採用していた2ストロークのダブルピストンだが燃焼室は１室という特殊なエンジンは燃費に優れていた。1953年に発売され、なんとミッレ・ミリアにも出場して、1954年、1955年とクラス優勝を獲得した。しかしイタリアでイソの販売は低迷したが、ドイツのBMWがエンジンを自社製に変えてライセンス生産したものは16万台を超えるヒットとなった。

1963年オースチン・ミニ Mk-1／1959年に登場したミニは、パッケージングの勝利だ。BMCの既存のエンジンを利用することが開発の前提だったが、いちばん小型のA型エンジンを横置きして、しかも駆動系の上に載せるFWDとしてエンジンルームもミニマムな大きさにして、全長3051mm、全幅1410mm、全高1346mmという空間の中に大人4人が乗れた。ミニの登場は英国社会に大きな変化を及ぼした。

2012年ルノー・クリオ R.S. ゴルディーニ／ルイ・ルノーは1898年にドライブ・シャフトを発明し、それでフロントエンジンでリヤを駆動するパナール方式が普及した。黎明期のモータースポーツで活躍し、1906年の最初のフランスGPで優勝した。その後、モータースポーツから遠ざかっていたが、戦後はルノーをベースにしたアルピーヌとゴルディーニが結びつき、ラリーやレースで活躍した。やがて、ルノーはアルピーヌやゴルディーニを傘下に収め、1978年のル・マンで優勝した。R.S.はルノー・スポールの略。

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