「雨の日」だって楽しいFR+MT トヨタ・スープラ 3.0(RZ) 相性抜群のBMW製6気筒 長期テスト(3)

公開 : 2024.01.14 09:45  更新 : 2024.02.01 07:41

FRにMTという希少な組み合わせのスープラ 再調整されたシャシーの印象は? 長期テストでその魅力を再び掘り下げる

積算2万5669km 開けた郊外の一般道で輝く

後輪駆動でマニュアルのトヨタスープラ。この組み合わせは、近年ではすっかり珍しくなってしまった。片方だけでも珍しいのに、もはや絶滅危惧種といっていい。スポーツカー自体も、数が減っているけれど。

今回は筆者、ジャック・ハリソンがスープラをお借りした。そんな珍しい組み合わせのモデルを久しぶりに確認するなら、充分な時間が欲しいところ。理想をいえば、天気は晴れている方が良い。ラッシュアワーの市街地は避けたい。

トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)

ところが、当日の天気は生憎の雨。それでも、かなり幸せな時間を過ごすことができた。朝の通勤で混み合う市街地を抜け、開けた郊外の一般道へ足を伸ばせば、スープラは強く輝いた。路面には水たまりが多くても。

運転は極めてしやすい。ロンドンの西、コッツウォルズ地方へ進むと、雨は少し小降りに。アクセルペダルを深めに踏める条件へ変化すると、不安感を抱かせない、驚くほどのグリップ力が顕になっていく。

散歩に出たくないような天気でも、目の前に迫るカーブを楽しめる。キャビン自体も、長時間を過ごすのに快適な空間といえる。フロントガラスはワイドで、前方視界は良好。シートのサポート性も高い。特別な場所へ身をおいたような気分にすらなる。

高速道路を延々と走るシーンでも優秀

確かに、インテリアデザインはBMWの面影が強い。いい方を変えれば、新しいZ4や3シリーズに乗り慣れている人なら、すぐに馴染めるだろう。

インフォテインメント・システム、BMW iドライブの使い勝手もそのまま。タッチモニターのサイズは大きいものの、過度な圧迫感はナシ。人間工学にも優れ、トヨタ独自のデザインではないとしても、悪い事実ではない。

トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)

高速道路を延々と走るようなシーンの印象も優秀。低めに調整された空気圧の影響で、当初は後方から大きめのタイヤノイズが響いていたものの、車内空間は充分に静か。メーカー推奨値へ圧力を高めると、110km/h前後での静寂性はしっかり改善した。

グレートブリテン島の西部、自宅のあるウェールズ州へ進み、筆者お気に入りのドライブルートへ。ここまでの燃費も、不安したほど悪くはなかった様子。空模様は徐々に回復し、午後3時から500kmほどを思い切り走り込んでみることに。

国道のA5号線では、スープラの本性が明らかに。ほぼ乾燥した路面では、本当にエネルギッシュ。交通量の少ないルートを、高い速度域で軽快に走る。誰もいない瞬間を見計らってアクセルペダルを踏み込むと、驚くようなスピードへ短時間に到達していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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