ホンダ 次世代EV「0シリーズ」を2026年投入へ デザインは9割確定?

公開 : 2024.01.10 18:25

エンブレムも43年ぶり刷新へ

ホンダのエンブレムである「Hマーク」は、1981年の制定以来初めてデザインが変更された。次世代EVの革新性と、挑戦を続けるホンダの企業姿勢を表現したもので、2026年の0シリーズから市販車に採用される予定だ。

ホンダは声明で、次のように述べている。

デザインが刷新された「Hマーク」エンブレム
デザインが刷新された「Hマーク」エンブレム    ホンダ

「Honda 0シリーズの開発にあたり、『これからの時代にHondaが創りたいEVとは何か』を原点から見つめ直しました。長い航続距離を確保するためのバッテリー搭載量の増加や、それを搭載するための車体やプラットフォームの大型化などによる、”厚くて重い” EVという制約から解放し、新たなEVの価値を創造することを目指します。この新たなEV開発アプローチを『Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)』と表現しています」

ホンダはEVの全高(厚み)を低くするため、フロア高を抑えた新しいEV専用プラットフォームを使用し、高い空力性能の実現を目指す。また、軽量化により「これまで定説を覆す軽快な走りと電費性能」を追求するとした。

バッテリーパックは軽量かつ高密度にすることで、小型化すると同時に480km以上の航続距離を実現する。0シリーズでは、15~80%の急速充電を10~15分程度に短縮するという。また、バッテリーの劣化率も使用開始10年で10%以下に抑える。

0シリーズでは、「心も身体もクルマと一体になる高揚感を得られる次世代の操る喜び」を目指すとしているが、この点に関する詳細はほとんど発表されていない。ただ、モーター、インバーター、ギアボックスを一体化したeアクスルを搭載し、「優れたパッケージングと電気変換効率」を実現するという。

また、知能化技術によってクルマそのものが賢くなる、ホンダ独自のソフトウェア・デファインド・モビリティ(ソフトウェア定義型車両、SDV)を目指す。

高度な自動運転機能も拡充

さらに、0シリーズ全車には、現在米国でレジェンドに搭載されているレベル3自動運転機能をベースにしたAD(自動運転システム)や、ADAS(先進運転支援システム)が採用される。高度なAI(人工知能)を用いて能力を高め、人間に近い危険予測や反応を実現するという。

ホンダは現在、高速道路のみで使用可能なハンズオフ機能を、将来的にはだけでなく一般道でも使用できるように開発を進めている。

CES 2024で公開された「スペースハブ(SPACE-HUB)」コンセプト
CES 2024で公開された「スペースハブ(SPACE-HUB)」コンセプト    AUTOCAR

AIの利用が増えるということは、ドライバーの行動を学習し、それに応じてさまざまな提案ができるということでもある。「使えば使うほどクルマとユーザーが親密になる」とホンダは言う。

ホンダのBEVビジネスユニットオフィサーである假屋満氏は、ドライバーのエンゲージメントを高めると同時に、高レベルの自動運転機能を展開することでバランスが取れると考えていると述べた。

「自動運転も、自分で運転することも楽しいと思います。自動運転ではリラックスして景色や家族との会話を楽しみ、運転中はドライブを楽しむことができます」

「どちらも実現できると思います。自動運転を安定させるためには、クルマそのものの素性も良くしなければならないので、自動運転が実現できるようにクルマの基本性能を磨いていきたい」

ホンダは、0シリーズが最終的に何車種まで拡大されるのかは明言を避けたが、当面はサルーン・コンセプトのような中~大型EVに焦点を当てる。2020年代末には、シビックやフィットのような小型モデルも投入される可能性がある。

一方、水素自動車も世界販売台数の一定割合を占めるだろうが、0シリーズに燃料電池パワートレインを搭載する計画は当面なさそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事