トヨタ・ミライ

公開 : 2014.11.20 23:40  更新 : 2021.01.28 18:23

そんなミライのスタイリングで特徴的なのは、独特のスタイルを見せるサイドビューだ。フロア下に燃料電池(FC)スタックと水素タンクを備え、その上にキャビンが載るという2段構造となっているのが全高1535mmの理由だが、そのキャビン全体は水滴をモチーフとしたデザインとされた。ルーフラインは後方に向かって下げられるいっぽう、前後ドアを貫くサイドのプレスラインはテールレンズ上に向かって伸び上がり、躍動感や先進性をアピール。フロントフェイスの両頬の部分に大きく設けられたダクト風のデザインは、燃料としての酸素の確保や、FCシステム冷却用の空気を取り込むために描かれた。そのダクトの横には、ヘッドライトから独立したウインカーとデイライトが備えられる。

市販開始前のモデルとあって、今回の試乗コースは一般道ではなく、信号も交差点もないクローズドコース。FCVがもっとも使用されるであろう、ストップ&ゴーの多い街中を想定した試乗とはならなかった。さらに安全上の側面から最高速度も100km/hに制限されていたけれど、日本ではこれ以上の法定速度が定められた高速道路はないのだから……と納得することにする。

燃料電池車とは簡単に言ってしまえば「水素と酸素を燃料とする電気自動車」で、クルマを走らせるための動力はモーターによってもたらされる。電気自動車の常ではあるけれど、出だしから最大トルクを発生するモーターの出力は素晴らしい。想像よりも踏みごたえのあるスロットルペダルに力を込めると、1850kgという車両重量をまったく感じさせずに、それも驚くほど静かに加速していく。密閉性の高いボディや高遮音性ガラスを採用したことで、外界と車内はまったく別の時間軸にある空間のようだ。

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