「エンジン」での実績は活きるのか BMW i5 メルセデスAMG EQE テスラ・モデルS 電動サルーン3台比較(1)
公開 : 2024.01.20 09:45
テスラを猛追するメルセデス・ベンツとBMW 加速性能だけでなく、運転の喜びで勝る電動サルーンは? 英国編集部が3台を直接比較
過去に経験したことのない速度上昇
テスラ・モデルS プレイドのアクセルペダルを、深く踏んでみる。凄まじい加速体験に、比較する2台へ勝ち目があるのかという疑問がよぎる。
トリプルモーターの最高出力は、実に1034ps。内臓が痛くなるような、過去に経験したことのない速度上昇へ言葉が詰まる。
AUTOCARでは、実環境での動力性能を明らかにするため、精密な計測機器を搭載して主要なモデルをテストしている。正確な数字となって、速さが示される。
ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツやフェラーリSF90 ストラダーレを持ってきても、モデルS プレイドの発進加速には敵わない。静止状態から100km/hまで、たった2.1秒でこなしてしまうのだ。しかも、最高速度は321km/hに達する。
クルマを測る尺度は速さだけではない。BMW i5 M60とメルセデスAMG EQE 53という電動サルーンが、異なる魅力を備えていることは明らかだ。とはいえ、圧倒的なダッシュ力を目の当たりにすると、少し思考が停止してしまう。
アメリカが生んだモデルSは、10年前は孤高の革新的サルーンだった。しかし現在は、多くのメーカーが凌駕するべき1台へ、受け止められ方は変わった。
BMWやメルセデスAMGは、内燃エンジンで走るスーパーサルーンの雄といえる。匹敵する実績を備えるブランドは、ほぼ存在しないといっていい。それでは、2024年のバッテリーEVにおける状況はいかに?
高い完成度のスーパーサルーンを生んできた2社
スーパーサルーンの先駆者となったのは、1985年のBMW M5。直近のBMW M5 CSも、過去に例がないほど高い完成度にある。恐らく、史上最高の1台に数えられる。
かたや、i5 M60は正式な「Mモデル」ではない。BMW Mモータースポーツ社の技術者が仕様を詰め、Mを名乗っても良いと承認した程度といえる。それでも、ツインモーターの最高出力は598psへ高められ、シャシーはシャープに仕立ててある。
メルセデスAMGも、輝かしい内燃エンジン・モデルを数多くリリースしてきた。このEQE 53は、正式な「AMG」。ドイツ・アッファルターバッハ の技術者が深く関与した、EQS 53に次ぐ2番目のバッテリーEVだ。
EQE 53のツインモーターは、通常では625psを発揮する。だが、オプションのAMGパフォーマンス・パッケージを実装すれば、短時間ながらブースト機能で686psへ強化される。
テスラは、BMW MやAMGのような栄誉をまだ得ていない。プレイドという変わった名前は、CEOのイーロン・マスク氏らしい。1980年代のコメディSF映画、「スペースボールズ」にちなんだものだとか。
1034psを備えていても、モデルS プレイドは通常のモデルSと、見た目に大きな違いはない。左ハンドル車のみの設定は、かつてのE30型BMW M3やランチア・デルタ・インテグラーレへ通じる、エキゾチック感を生んでいる気もしないではないが。
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