「エンジン」での実績は活きるのか BMW i5 メルセデスAMG EQE テスラ・モデルS 電動サルーン3台比較(1)

公開 : 2024.01.20 09:45

ハイテク感でモデルSを凌駕するEQE 53

モデルS プレイドのスタイリングは、従来どおり。プロポーションが良く美しい。EQE 53も滑らかな面構成で、使い込んだ石鹸のように滑らかだ。

この2台と並ぶと、i5 M60の四角さが際立つ。トラディショナルな3ボックス・ボディは、ガソリンターボ・エンジンを搭載する5シリーズと共有するという、必然から生まれた。ボンネットの長さも目立つ。

テスラ・モデルS プレイド(欧州仕様)
テスラ・モデルS プレイド(欧州仕様)

インテリアも対照的で面白い。モデルS プレイドは、フェイスリフト後でもミニマリスティック。ブランドのフラッグシップ感は薄く、巨大なタッチモニターが強い存在感を放つ。稼働するソフトウエアは、驚くほど扱いやすい。

バッテリーEVらしく、車内空間は広々。荷室容量も今回の3台の中では1番広く、充電ケーブルをしまえる収納も設けられている。

EQE 53も、電動パワートレイン専用のプラットフォームを基礎骨格とする。ところが、丸く膨らんだ見た目の印象ほど、車内空間が広いわけではない。

オプションのハイパースクリーンを指定すれば、ダッシュボードのほぼ全面がモニターになり、ハイテク感はモデルS以上。英国では、6990ポンド(約129万円)の追加費用が求められるが。

それを構成する3面のモニターは、感心するほど機能的。ソフトウエアはゼロレイヤーというコンセプトでデザインされ、メニューを掘り下げずとも求める機能を操作できる。

3台で1番豪華なi5 M60のインテリア

i5 M60のダッシュボードには、上部にワイドなモニターパネルが載る。EQE 53と同等に表示は高精細だが、オーディオ・ソースやドライブモードを切り替えるには、少し長めにモニターを見つめることになる。運転中は避けた方が良いだろう。

そのかわり、スタイリッシュなインテリアは3台で1番豪華。最高品質の素材で、丁寧に作り込まれた印象を受ける。モデルS プレイドだけでなく、EQE 53も、内装にはプラスティック製部品が目立つ。ソリッド感でも及ばない。

BMW i5 M60 xドライブ(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ(英国仕様)

車重は、シンプルなインテリアも影響してか、モデルS プレイドが一番軽く2167kg。i5 M60は2380kgで、EQE 53が2525kgとかなり重い。

3台で1番非力なi5 M60の瞬発力は、0-100km/hで3.8秒。それでも充分速いといえ、不満ないパンチ力を披露する。ただし、ステアリングホイールのブーストパドルを引いた最長10秒間しか、本領の598psを引き出せない。

加速は至ってシームレス。四輪駆動だからトラクションも見事で、ホイールスピンは最小限。1Wの電気もムダにしない。

試乗車のi5 M60は宇宙船のような人工音がオンになっていたが、オフにすれば、走行中はほぼ無音。残りの2台は、意外なほどロードノイズが大きい。

BMWのチューニングによる、ワンペダル・ドライブは最高。回生ブレーキの効きは調整しやすく、制動力は強く、ブレーキペダルを踏まずとも滑らかに停止できる。ブレーキディスクとパッドを頼る場面でも、フィーリングは自然。漸進的で頼もしい。

この続きは、BMW i5 メルセデスAMG EQE テスラ・モデルS 電動サルーン3台比較(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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