ベントレー・ミュルザンヌ・スピード
公開 : 2014.11.20 23:20 更新 : 2017.05.29 19:03
それでいて燃費やCO2排出量の数値は13%程度改善されているとのこと。現実的な走行でも、スタンダードなミュルザンヌよりも0.7-1.1km/ℓの燃費向上を記録した。
新しくなったドライブ・プログラムをスポーツ・モードにセットした際のレスポンス向上のためにサスペンションも見直されている。ステアリング、ZF製8速ギアボックス、スロットル・マッピングも同様に調整し直され、カスタム・モードでは、ダンパーはコンフォート、ステアリングはスポーツ、パワートレインはスタンダードといった具合に、個別に好きなセッティングを組み合わせることが可能だ。
ベントレーにとって非常に重要なキャビンは、スポーティネスを強調した仕立てになっている。ドアパネルにはカーボンファイバー製のパーツがあしらわれ、シートにはカラーのステッチや、ダイヤキルトの模様がふんだんに用いられている。フット・ペダルにもさり気なく穴あき加工がほどこされている。
■どんな感じ?
走りだした直後に、低い回転域から沸き上がるトルクと、エンジンのレスポンスの良さに気づく。
スポーツ・モードに切り替えれば、落ち着きは一切失わずに、怒涛の加速が始まる。それはもう、恐ろしいレベルだ。4速、5速、6速とシフトアップするほどに、その勢いにさらに拍車がかかる。
ステアリングやサスペンションにダイレクト感が増すのもスポーツ・モードの時。だからといってコンフォート・モード時に気だるさがあるわけではなく、これはこれで、ミュルザンヌの威厳を巧みに演出している。
もちろん車重ゆえの、おっとりとした感覚は特に素早い操舵を試みた際に感じるのだが、それでもスタンダードのミュルザンヌに比べると、明らかにシャープかつ敏捷に感じる。
パワーを増強し、さらに速くなったからには、ブレーキもレベルアップする必要はあるのだが、カーボン-セラミック・ブレーキが標準装備でない点は残念でならない。
高速域からの急制動を2回程度おこなった直後には、穏やかなキャビンの中にパッドが溶けた嫌な匂いが入り込んできたことからも、ぜひ標準での装着を検討してほしいと感じた。