メルセデス・ベンツ新型Eクラス 車内がもはや会議室 加えて最新/安全装備が盛り沢山
公開 : 2024.01.15 17:45
室内の快適性はどう変わった?
室内カメラ
ダッシュボードの上には、新採用のセルフィー&ビデオカメラ(オプション設定)が設置される。これにより、停車した状態であれば、ドライバーもウェベックスなどを介してオンラインのビデオ会議に参加したり、自分の写真や動画を撮影したりすることができるという。
また、撮影した映像や画像はUSBフラッシュドライブに保存することも可能。カメラは画角が広いことから、前席のサイドウインドウや(装備によっては)パノラミックスライディングルーフなどを含め、室内のさまざまな部分をとらえることができ、これにより、まったく新しい視点で独特な画像や動画を撮影することが可能となった。
エアロダイナミクスとエアロアコースティクス(空気音響特性)
新型EクラスはCd値0.23と、このセグメントとしてきわめて優れたエアロダイナミクスを達成したと述べた。これは、先代Eクラスと同等の値である。一方、前面投影面積は 2.36m2で、先代の2.34m2よりわずかに大きくなっている。
数多くのコンピューターシミュレーションを早い段階で行うことで、完成度を高めることができたと同社は語る。これにより、風洞実験で必要な最適化ループの数が減少した。
デザイナーと緊密に連携するエアロダイナミクスの担当者の手によって、Eクラスは数多くの改良が施され、その中には、エアロダイナミクスを追求したホイールなど、優れた効率で評価の高いメルセデス電気自動車から採用されたものもあると語る。
主な空力対策
・フロントセクションに革新的なシール:ボンネット左右端のシールとフロントグリル内蔵エアロリップを初めて採用
・特殊なスポイラーを設置(前後輪の前方)
・ボディ面に格納されるシームレスドアハンドル
・アンダーボディ:新材料(ツーピース・メインフロア=モールドオン・シーリングリップ付き)の採用、形状の改良(ランプ形のスポイラーリップ、サスペンションコンポーネントに取り付けたエアロクラディング)
開発段階における空気音響特性の改善
空気音響特性の開発では、メルセデス・ベンツは常に2つのアプローチをとるという。1つは、ノイズを発生源で(すべての装着部品を取り付けたクルマの外面を気流が通過する際に)可能な限り低いレベルに抑えること、もう1つは、不可避的に発生するウインドノイズについても、高度なシールと防音対策によって室内でほとんど感じられないレベルに低減するか、不快に感じられないようにすることだという。
すでに開発の初期段階から、ノイズ発生に特に関係が深いAピラーとドラミラーの幾何学的サイズを決める作業を開始し、この先進開発では形状の最適化の際に、気流シミュレーションとノイズ測定を組み合わせて行ったとする。このうちノイズ測定は、音響風洞内に設けた特殊なマイクロフォンアレイを使って実施した。
広範な室内測定は「音響ホログラフィー」とも呼ばれるもので、メルセデス・ベンツでは室内で64のダブルマイクロフォンアレイ(手持ち式)を使用することで、低周波数域の問題箇所の特定を可能にしていると述べる。使用するマイクロフォンは、外部測定装置(音響カメラ)を含めると、500近い数となる。
周波数の高いウインドノイズについては、ドア/サイドウインドウ/ドアミラーのシールにさまざまな対策を施すことで低減した。ドアは、問題となる部分の構造剛性が増強された結果、きわめて高い速度で走行する場合でも風切音が低減されたという。
空隙部は発泡剤で保護することで、ホワイトボディの遮音性が改善された。これによって、コックピット・クロスメンバーやトランスミッショントンネルの複数部分、それにAピラーとCピラーの構造が変更された。
パノラミックスライディングルーフでは、ウインドディフレクターに対して細部にわたって多くの改良が施された。ガラスルーフにもサイドウインドディフレクターが追加された結果、ノイズや室内への風の巻き込みが低減された。
チルトポジションでは、車速に応じてガラスパネルが下降するが、このことも快適な室内音響特性を確保し、実際の空気抵抗を低減する効果をもたらす対策であるという。
ブルメスター4Dサラウンドサウンドシステム
ドルビー・アトモスにも対応した、合計17個のスピーカー/15チャンネル/合計730Wの出力による「ブルメスター4Dサラウンドサウンドシステム」は、3次元の豊かな音響にさらにもう1つ次元を加えた4Dサウンドだという。これは、前席シートに振動を伝達するエキサイターを採用し、シートの振動を通じて音楽を表現するものだと述べた。