お国柄が息づく2台に試乗 ルノー・キャプチャーEテック、DSオートモビルDS3ブルーHDi コンパクトでもわが道を行く
公開 : 2024.01.16 07:35 更新 : 2024.01.16 21:40
・他と違う「多様性」フルハイブリッドとディーゼル
・内外装に個性きわだつ2台をドライブ
・ほかに似せようとしないという魅力
多様性から生まれる豊かな選択肢
フランスは多様性を大切にする国だ。日本とは対照的に人と違うことが尊ばれる国でもあり、パリの街を歩けばさまざまな人種が暮らしていることがわかるし、伝統的な街並みの中に突然前衛的な建物が出現したりする。
最近人気のクロスオーバーをはじめとする、新しいジャンルへの挑戦も積極的で、マーケットへの参入は早かったし、いまではルノー、プジョー、シトロエン、DSの4ブランドすべてが、B/Cセグメントに車種を持っている。
加えてパワートレインは、今回取り上げるBセグメントではガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、電気と4つの選択肢がある。
日本車のこのクラスには電気自動車はないし、フランス以外の輸入車ではさらに選択肢が少なくなる。マルチパスウェイという言葉は、この国のクルマたちにこそふさわしいと思ってしまうのである。
今回はその中から、輸入車では希少なフルハイブリッドのルノー・キャプチャーEテック ハイブリッド・レザーパック、ディーゼルエンジンを搭載するDSオートモビルDS3オペラ・ブルーHDiを、横浜市内でドライブした。
DSはプレミアムブランドなので、価格はキャプチャーの424万円に対して514万円と差がある。なので今回は比較ではなく、2台の個性を味わうという気持ちで臨んだ。
ボディサイズはキャプチャーが全長4230mm、全幅1795mm、全高1590mmで、DS3は4120/1790/ 1575mm。ホイールベースは前者が2640mm、後者が2560mmとなる。つまりキャプチャーのほうが少しだけ大柄ということになるが、それ以上にスタイリングの差のほうが印象的だ。
クルマという世界観におさまらない仕上げ DS3
キャプチャーは最近のルノーのデザイン言語に沿っていてダイナミック。ボディサイドはウェッジシェイプに加えて張り出したフェンダーと絞り込まれたキャビンなど、躍動感あふれる。でも子供っぽくはなく、上質な雰囲気も伝わってくる。
対照的にDS3は、3ドアだった先代のシャークフィンタイプのセンターピラーを受け継ぎ、キャプチャーとは逆のV字型キャラクターライン、リトラクタブルドアハンドル、ヘッドランプから縦に伸びるデイタイムランプなど、個性的なディテールがちりばめられていて、似たものがないと思えるほど独創的だ。
クルマとしての躍動感を前面に押し出したキャプチャーに対して、DS3は宝飾品を思わせる仕立てという感じがした。
インテリアはエクステリア以上に違いが大きい。キャプチャーはルノーというブランドから想像するよりオーセンティックであるが、シルバーのパネルやレザーシートなどにより、質の高い空間に仕上がっている。でも印象的なのはやはりDS3だ。
サヴォワ・フェールと呼ばれるファッション業界の匠の技をクルマに持ち込んだという仕立ては、菱形のメーターやセンターパネル、腕時計のストラップをイメージしたレザーシート、宝石を並べたようなステッチなど、前衛的だし手作り感も伝わってくる。
冒頭で簡単に触れたパリの景観になぞらえれば、キャプチャーはモダンな建築、DS3は伝統的な街並みを感じさせる。同じコンパクトクロスオーバーなのに、ここまで表現のしかたが違うところもまたフランスらしい。