メルセデス・ベンツ 大型車載スクリーンをさらに増設へ デジタル化に焦点

公開 : 2024.01.17 18:05

・メルセデスは「ハイパースクリーン」のような大型スクリーンに注力。
・従来のユーザーインターフェースから脱却し、デジタル技術の活用を進める。
・生成AIも使い、新しい車内体験を目指す。

スクリーン中心の車内体験へ

ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツは、車載スクリーンのさらなる大型化と増設に取り組み、市販車に順次導入していく方針だ。

最高技術責任者(CTO)であるマルクス・シェーファー氏は、1月10日に開幕したCESで取材に応じ、今後「さらに多くのスクリーン」を搭載するだろうと語った。

メルセデス・ベンツの「MBUXハイパースクリーン」
メルセデス・ベンツの「MBUXハイパースクリーン」    メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツは現在、EQSなど一部のEVに「MBUXハイパースクリーン」を導入している。ダッシュボードの幅をフルに使った大型スクリーンで、センターディスプレイや助手席用ディスプレイが統合されている。

「メルセデスは左から右までシームレスなスクリーンになります。それが次の進化です」とシェーファー氏は語った。

ハイパースクリーンは「実に見事な体験」であり、従来の独立型スクリーンに比べて大きな進歩だという。「このスクリーンは、少なくとも今後数年間は、当社にとって非常に重要なものだと思います」

ディスプレイにはLGのOLED技術を引き続き使用することを検討している。スクリーン自体の幅は1.4m以上ある。

シェーファー氏は、このようなスクリーンに代わるものはなく、フロントガラスを介する拡張現実(AR)投影技術についても検討しているが、これには「多くの欠点がある」という。

「そのため、高品質のスクリーンを使うことにしているのです。シームレスな体験を作り出す新しい技術も生まれてきています。当社はゲームエンジン技術を使ってさらに魅力を高め、没入感のある見事なビジュアライゼーションを目指しています」

また、昨年米国向けモデルで行われた生成AI「ChatGPT」のベータテストを経て、車内でAIの幅広い活用を提案した。今年のCESでは、ドライバーと音声でコミュニケーションをとり、さまざまなコマンドを実行できる新しいAIバーチャルアシスタントも発表した。

しかし、ChatGPTの場合、ドライバーに伝える内容を注意深く見守る必要があるとシェーファー氏は言う。「もし、移動中の車内でまったく無意味なことを伝えた場合、製造物責任に問われる可能性があります。座ってスマートフォンを開いているときとは違うのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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