ホンダNボックス・プラス

公開 : 2012.12.20 16:52  更新 : 2017.05.29 19:10

これは荷室拡大版Nボックスだが、ベースがすでに軽枠カツカツなので、ゴルフプラスやコルトプラスのように、ボディ骨格が変わっているわけではない。キモは大きくふたつ。リヤシートを前方移動させて、通常時の荷室長をNボックス比で215mm拡大したことと、荷室フロアを斜めにまでしてギリギリ削り取ったこと……である。よって、(意図的なデザイン差別化をのぞけば)リヤバンパー下にまで回り込むように切り欠かれたテールゲートが、外観における唯一にして最大の特徴といっていい。

リヤシートを前方移動したことで当然のごとく後席レッグルームが犠牲になっており、さしずめ“レクサスLS以上”が“フィット級”になった。言葉にすると大きな代償に思えるが、考えてみてほしい。この種の大容量軽の後席はもともと異常に広い。フィットといっても、それは後席がもっとも広いBセグメントの1台だ。ハイトワゴンにLSなみのレッグルーム……の本質的メリットは「車内で子供を遊ばせたい、着替えをしたい」といった特殊用途にしかないわけで、後席と荷室をバランスよく配分した今回の“プラス”のほうが、パッケージ手法ははるかに正論である。

その荷室を活かした多種多様な使用例をアピールするNボックス・プラスだが、とくに簡便なアタッチメント(と純正アルミスロープ)を追加するだけで、普段の使い勝手をなんら犠牲にせずにクルマイス仕様になるのにソソられる人は、いまの日本にはかなりいそう。私事だがウチの実家も家族のひとりがクルマイスであり、これからの日本の平均的家庭ではクルマイスがあるのが当たり前になることは必定である。軽自動車はたしかにガラパゴス化が顕著だが、ここまでやりきられると、ある意味ですがすがしいくらい。

従来のNボックスに対してプラス40~50kgの重量増となるが、それに応じてノーマル系にもターボエンジン(Nボックスのターボはカスタムのみ)が追加されて、しかもNボックスでは4WDとカスタム系だけだったフロント・スタビが全車につく。走りは総じてプラスのほうが好印象。価格は10万円前後高いが、ファーストカーとして使うならこっちのほうが魅力が大きい。

(文・佐野弘宗 写真・田中秀宣)

ホンダNボックス・プラス

価格 164.25万円
0→100km/h na
最高速度 na
燃費(JC08モード) 19.4km/ℓ
CO₂排出量 119.7g
車両重量 1010kg
エンジン形式 直3DOHCターボ、658cc
エンジン配置 フロント横置き
駆動方式 前輪駆動
最高出力 64ps/6000rpm
最大トルク 10.6kg-m/2600rpm
馬力荷重比 63.4ps/t
比出力 97.3ps/ℓ
圧縮比 9.2
変速機 CVT
全長 3395mm
全幅 1475mm
全高 1780mm
ホイールベース 2520mm
乗車定員 4名
燃料タンク容量 35ℓ
荷室容量 na
サスペンション (前)ストラット
(後)トーションバー
ブレーキ (前)Vディスク
(後)ドラム
標準タイヤサイズ 155/65R14

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